第6章 あたたかい場所
皆教室に入ってきて、半泣きになりながら拗ねたように丸くなってお弁当をちまちま食べる。
何なのさっきの中也さん!
親バカモードなのか私バカモードなのかどっち!?
どっちもだね、知ってたよ!!
「まあまあ、そんなにいじける事もないんじゃない?どう聞いたってあの人蝶ちゃんの事大好きじゃん」
「そーそー!俺のだから、とか言われてみたいよ~!」
『原ちゃんも倉橋ちゃんも何言ってんのよ!!?』
バッと顔をあげて睨みつけるも、こんな顔じゃ覇気もない。
「でも、さっきキスして寝かせてもらったんでしょ?しかも気絶だなんて、ビッチ先生がよくやってるようなディープキスだったんじゃん。そこまでするなんて中々…あ」
『…カエデちゃん、今の何。聞いてたよね、皆絶対最初から聞いてたよねそれ』
あはは…と苦笑いになるカエデちゃん。
ダメだ、怒れない、可愛いこの子。
『って、ディープキスって何?私イリーナ先生がキスしてるとこ、見たことないんだけど』
言った瞬間、周囲の空気が凍りついた。
あれ、もしかして私また墓穴掘った?
「何つー事聞いてやがんだてめえは!?さっきの口ぶりじゃああの男としたんだろうが!舌入れるやつだよ舌!!深ぇやつ!!」
顔を真っ赤にしながら寺坂君が必死に教えてくれる。
でも舌入れるやつって…深いやつ、あ、それでディープキス……って!!
『へ、っ……あ…』
思い出しただけでも腰が砕けそう。
自分からお願いしたとはいえ、中也さんのキスってなんていうかこう、凄いから。
他の人とあんな事した事ないからなんとも言えないのだけれど、多分私に下手だって言っていたあたり、相当あの人が上手いんだ。
何も言い返せなくなって顔を真っ赤にしていれば、皆して私から顔を背けてしまう。
えっ?え!?と一人キョロキョロしていると、カルマ君がまた口を開いた。
「蝶ちゃん今更じゃね?あんだけ散々俺の目の前でチューしといてそんな恥ずかしがってちゃ心臓持たないよ?あの人あれでまだまだ手加減してるみたいだし……てか俺のとこに惚気話めっちゃくるんだよね。あと蝶ちゃん自慢」
『あ、あれは全部中也さんが調子に乗って…っ、か、カルマ君が変に野次入れるから、最近中也さんがキス魔になっちゃったんだよ!?さっきだって起きてから何回され…………!!!』
また全部自分で暴露したのに気が付き、顔を隠した。
