第6章 あたたかい場所
「よ、嫁?よく分からないが、まだ白石さんは16になっていないから大丈夫だとは思うが…」
違う烏間先生!問題はそこじゃない!!
カルマ君と一緒に烏間先生にバッと目を向けるも、本人は全く気づいていない。
烏間先生の返しに驚きすぎて、遅れて中也さんの言葉を脳内リピートし始めた。
あれ、あの人私に手出す人がいたら制裁しに来るって言った?ねえ。まあそこまでは予想の範囲内だしまあいいよ?いや、良くはないんだけど。
……うちの蝶が可愛くてもって何!?私が中也さんのものだからって何!!?
あの人スピーカーでこっちに全部聞こえてるって知ってて、なんであんな事ばっかりスラスラ言えるの!!?
「いや烏間さん、そこじゃなくてだな?…とりあえずまずは沖縄の離島に行った時に、蝶の水着姿を何としてでも野郎共の目から守らなけりゃならねえから『待って!!待って中也さん、ストップ!!』ああ?蝶か」
『み、水着は着ないよ!?沖縄行く時水着持っていかないから!まだ買う予定ないから!!』
「……ああ!?なんで買わねえ!?本気で着ねぇつもりかよお前!!」
着て欲しいのか着て欲しくないのかどっちなのこの人!?
『だ、だって中也さん来れないんでしょう!?それなら私、海に入らないのに水着着る必要なんて無いじゃない!!』
「けどそれじゃあ!!……あ?そ、そうか?」
中也さんの勢いがおさまって、再び沈黙が流れる。
あれ、何この空気、私何かすごく恥ずかしい事口にしたんじゃ…
「はいはい、もうお互い大好きなのはよーく伝わったから、とりあえず中也さんは烏間先生に容態の細かい所説明してよ。スピーカー切るからね、じゃ」
すぐにカルマ君によって烏間先生に携帯が渡され、烏間先生はわけがわからないといった顔をしながら職員室へと行ってしまった。
『な、ななっ……わ、私何か言っちゃった?』
「うん、蝶ちゃんだけに限らず、二人して大告白大会みたいな事してたよ」
『こくはっ…!!?』
自分の言動を振り返る前に、窓の外から気配を感じて、無言で窓を開けて下を見た。
「「「あ。」」」
見れば、E組の皆さんが綺麗に口をあけてこちらを見ている。
『…………何、してるの?何か聞いた?』
「「「……嫁?」」」
『うん、お嫁さ……っ違う!!違うから!?それあくまでも私の願望で…ち、違うんだからああ!!!』
