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第6章 あたたかい場所


「それで反動で恥ずかしくって動けねえあたりが本当にお前らしいよ。おい蝶、なんだ?もうギブアップか?」

暫くは中也さんも照れてた様子だったのに、すぐに私をなじり始めた。
何この人本当につよい、メンタルのレベルまでおかしい。

『ぎ、ギブアップとかないですからっ…』

「まさか俺がお前からされて、そのまま大人しくするとでも思ってたのかよお前?俺はする方が好きなんだぞおい」

ギューッと中也さんの胸に顔を押し付けて、意地でも顔を見せまいとする。
する方が好きなんて何回も身をもって味わった。
そんなの分かってるもん、でもしたかったんだもん。

『…いたずら心です』

「随分可愛らしいいたずらな事だな。安心しろ、いたずらであれなんであれ、俺はお前にそうされっとすぐに煽られて何倍にもして返してやりたくなるからよ…」

『!!ヒャッ…!や、やだっ、今そっち顔向けたくない!』

何倍にもして返したくなる…それってつまりは、いつもの如くキスで返すという事。
流石に何回目かにもなれば私だっていい加減に分かる。

「向けたくない?俺はお前の顔が見たい」

『何っ、私の事そんなに好きなの中也さん!?そっち向いたら中也さん絶対に仕返しするからやだ!!』

「……ああ、好きだぜ」

『…………へ、っ?……んッ!!ぅッ…っ』

予想外の返しに思わずそちらを向いてしまってフリーズしていれば、中也さんから仕返しだと言わんばかりのキスをされた。
触れるだけの長いキスを何度か落として、中也さんの唇が離れる。

『は、ぁッ…な、なにっ……を、…っ』

「…何回も言うように、俺はお前が思ってる以上にお前の事をそう思ってるって。……いくらこんな事をしたってまだまだし足りねえくらいだよ」

中也さんの声にまたゾクリとする。
最近こんな言い回しをされて、いよいよ中也さんの本心が分からなくなってきてる。

言葉だけを素直にそのまんまとっても、私の事をそういう風に見てるんだとしか思えないけど…この人がハッキリした言葉で言わないあたり、やはり親バカのせいかって考えてしまう。

けれどもまだまだキスをし足りないだなんて、今まで隠してただけで、本当はこの人かなり私の事好きなんじゃないかな…キス魔になっちゃうくらいに、私の事大好きなんじゃないかな、なんて思ったり。

『…今日はもうダメ、私が恥ずかしくて死んじゃいます』
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