第2章 暗闇の中で
暫らくすると、段々と落ち着いてきた。
『……ごめんなさい、ナイフ弾いちゃって。折角貸してくれたのに』
「いや、別にお前が悪いわけじゃないだろ。…アレルギー的な反応だと考えればいいのか、?」
前原君はすぐに許してくれた。
それにしても、アレルギー的な反応か…
『分からない…けど、もう触らないようにする。やっぱ私に近接戦闘は向いてないのかな…』
「でも蝶ちゃんなら大丈夫じゃない?体術使えば全然いけそう。かなり凄かったし、蝶ちゃんの体術。」
『そう、かな?何かあった時に自分の身は守れるようにって、いい体術の先生に教えてもらってたからかも?』
勿論これは中也さんの事。
まあ、質問してきたカルマ君には多分バレバレなんだけど。
「うん、それならナイフは使うのやめて、銃にすれば?」
空間移動でBB弾を触らずにセットすれば、対先生物質のものは触らなくて済むよ、と耳打ちされ、肯定の意味を込めて頷いた。
「白石って銃使えんのか?見た事無いけど」
『あれ?言ってなかったっけ。私、本来は体術がメインなんじゃなくて、銃を使った遠距離攻撃が得意なんだ。』
刃物が怖かった小さい頃の私の為にと、銃を教えてくれたのもまた中也さん。
私はこの武器で、ポートマフィアを生き抜いてきたのだ。
「え、じゃあもしかして、あのバケモンみてぇな体術よりも銃の方が得意ってことか?」
青い顔をする前原君。
私は軽くうん、と答えてみせる。
そして、ほらと言ってスカートの裾を両手で摘み、上に上げる。
「な!?ちょ、下ろせよ、何やって!!」
「蝶ちゃん!?スカート……!」
スカートの心配をする目の前の二人は、私の太腿に付いてる銃とホルダーを見た。
そもそも私は下半身に露出対策として黒のタイツを日頃から愛用しているため、スカートの心配なんて必要ないのだが。
『二丁銃なら尚得意。』
「び、びびった…」
「へえ、二つ使うんだ。」
スカートを降ろし、上からホルダーにセットされた左右二つの銃を指で撫でる。
これも勿論、中也さんからの貰い物。
『何かあったら私が守ったげるから、安心してよね!』
これはただの強がり。
見ての通り、私は中也さんからたくさんのものを与えられている。
私を救ってくれたのも中也さん。
助けを求める先はいつも彼だった。
やだ、何か、嫌なの…
私を一人にしないで__