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第2章 暗闇の中で


新幹線から降りてまず向かったのは、宿泊先の旅館だった。
A組からD組までの人達は皆高級ホテルに宿泊するそうだ。

旅館に到着し、殺せんせーはすごい速さでソファへ倒れ込み、グッタリとしていた。
それを見た潮田君は何かメモをとっており、三人程の子が殺せんせーにナイフを当てようと試みながらも躱されていた。

『潮田君、それが噂の、殺せんせーの弱点メモ?』
前にカエデちゃんから聞いたことがあったのを思い出し、尋ねてみる。
「うん、まあ…まだあんまり役に立ってはないんだけどね。」
苦笑いを見せる彼だが、その様なこまめな情報収集は、ふとしたところで大きな力となることが多い。
感心させられるところだ。

『私も暗殺に混ざってみようかしら…』

それはただの好奇心だった。

空間移動で誰かからいつでも借りれる、そう思って、対先生用のナイフやBB弾は、私は提供してもらっていない。

たまたま近くにいて、尚且つ少し話したこともある前原君の肩をつついた。

『ナイフ、借りてもいい?私もあれ混ざってみる。』
「おお、ナイフ持ってないのか?いいぞ。」

ナイフの柄を向けて私に差し出す前原君。
ゴム製っぽいのに関心だなぁと思いつつ受け取った。

『ありがと…っ、んん…、!!?や、!!』
「え、!?」

ナイフを受け取った途端、頭に響いた激痛。
あまりにも鋭いその痛みに、つい前原君のナイフを弾き飛ばしてしまった。

確かに私は、刃物のような尖った狂気などの類は大の苦手だ。
だが、仕事上そんなことでは務まらないので、刃物一本くらいじゃ物怖じしない程度くらいには精神を鍛え直したはず。

もっと言えば、こんなゴムの様なナイフ、刃物でも何でもないのに…

『はぁ、はぁ…っ、何今の……何か、嫌、や…、っ』

顔から血の気が引くような感覚。
何故かおさまらない体の震え。

皆殺せんせーの暗殺に夢中で気がついてはいなかったが、目の前の前原君…そしてカルマ君は私の様子に気づいたのか、心配してこちらに駆け寄ってくる。

「どうした白石!?な、なんかやばそうだぞお前、」
「蝶ちゃん、とりあえず一旦落ち着いて、深呼吸して…」

首元にかかるリングを両手で握りしめながら、カルマ君の指示通りに深呼吸をする。

『はぁ、……ぁ、今何か、それ触ったら頭が痛くなって…っ、』

「わかった、わかったからもう考えるな!」
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