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第6章 あたたかい場所


私を包み込んで背中をポンポン、と撫でながらそんな事を呟く中也さんに余計に恥ずかしくなる。

『か、わいくとか…ない、ですから……っ』

「お前が勝手に自己判断してんじゃねえよ…俺がそうだっつったらそうなんだ」

なんて身勝手な理論だって反論したくもなった。
でも、嬉しさが勝ってそんな事も言えなくなる。

中也さんの口から愛だなんて言葉が出てくるなんて思ってもみなかった私からしてみれば、あれ程までに私の心にじんわり響いた言葉はかつてなかったほど。

それも中也さんからの言葉だったから。
中也さんから愛してやるだなんて言われたの…初めてだったから。

『は、恥ずかしいのはあれだけど……嬉しかった。心臓とか涙腺とか溶けちゃうんじゃないかってくらいにあったかかった』

「…そうか。なんならもっと言ってやろうか?愛してやるって」

『も、もういいですっ!!私変になっちゃう、からぁっ…!』

さり気なくまた言われたそれに耐えきれなくなって、中也さんの胸に縋りついた。
だめだこの人、つよすぎる。

「そんなに嬉しいんならと思ったんだがな…あと一応言っておくが、俺は変になったお前っつうのも好きだぜ?今みたいにもっと俺んとこに来てくれるようになっからな」

『ば、バカ中也さん…っ、親バカっ!私の事好きすぎ!!そんな事ばっか…親バカ通り越してもうただのバカだよっ…』

「…いくらでも言ってろ、ちょっとレパートリー増えてるけどんなもん悪口にもなってねえよ。つかお前が相手なんだ、バカにだってなっちまってもおかしくねえだろ」

中也さんに言う悪口なんて思いつかない…それだけ大好きなんだから。
恥ずかしいからそれを隠すために必死になってるだけなんだもん、絶対中也さん分かってる。

『知らないっ、私のせいじゃない!』

「いいやお前のせいだ。こんな性格の人間だぞ俺は?お前のせいじゃねえとんな事口にも出してねえよ」

私の頭が勝手に解釈する。
都合のいいように解釈して、中也さんが私を本当にそういう風に見ているんじゃないかって…私の事を愛しているんじゃないかって、愛しく思ってくれてるんじゃないかって、勝手な想像を膨らませる。

思ってもないような事なんて私にこの人が言うはずがない、嘘で愛だなんて言葉を口にするわけがない。

私と同じなら、いいのにな…

『も、いい…恥ずかしい事ばっか言わないで』
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