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第6章 あたたかい場所


「んでお前、もう寒くはなってねえんだな?結局んところは能力の暴走っつう可能性が一番考えられるが…原因と解決策が分からねえ」

『!…原因……は多分ね、一時的なすっごい中也さん不足だと思うの』

はあ!?と勢いよくこちらを振り向いて、中也さんはわけがわからないといった顔をする。

『だって、前になった時もいつもより泣いてたし、いつもより中也さんが不足してたんだもん』

「おいおい、それってマジでお前の言う持病なんじゃねえか…?」

『…かも?』

中也さん症候群、恐るべし。
まさか本当に中也さんが不足してこうなるとは思ってもみなかったけど。

「俺かよやっぱり…んじゃいつくらいに治った。どっかのタイミングでマシになってたんじゃねえのか?」

『中也さんにギュッてしてもらってから、嬉しかったよ?前は確かそれで初めて頭も撫でてもらって、治ったはず……だけど』

少しもじもじしながら言うも、また中也さんに聞き返される。

「ああ、確かにあん時が初めてだったか…って、今回だよ今回。嬉しかったはもう十分分かってっからどのタイミングだったか教えてくれ」

『十分分かって!?』

中也さんに見透かされていて一気にぶわっと恥ずかしくなる。
でも、こんな事を口にしてもいいの?
どのタイミングで治ったって…一番あったかくなったのなんて、そんなのあの時しかない。

確信はあるけど、それをまた口にするのが恥ずかしい。

「おう、分かってる。……って何でそんな恥ずかしがってんだよ?まさか深いキスで治ったとかいうのか?」

『ち、がうっ…と思う』

最初はそれで治るかもしれないと思ってた。
でも、それよりも私の心がぽかぽかする、じんわりとあったまるものがあった。

私の身体が記憶している。
間違いなく、あの瞬間だ。

『……ち、中也さんが…』

「…俺が?言ってみろ」

『…………わ、私に…もっといっぱい…愛、してやるって…言ってくれた、時……?』

自分の口から言うのが恥ずかしすぎてつい疑問形になった。
チラ、と中也さんの方を控えめに見ると、放心状態になったようにして中也さんの目が私を捉えている。

「…そ、そん時?」

コクリと頷けば、お互いに恥ずかしさのあまりに顔が真っ赤になる。

「ああ、マジで何なんだお前、よりによってそれかよっ!?俺だってんなもん予想してねえっつの……あー…可愛い」
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