第6章 あたたかい場所
どのくらいの間眠っていたのだろうか。
身体は芯から熱くなって、ちょっとだるいし頭も痛い。
けど所々がひんやりしていて、それがすっごく心地いい。
寒く、なくなってる。
そういえば前に大喧嘩…というよりは怒られた時って、最終的に中也さんがやっぱり折れてくれて、私が安心して嬉しくなって和解したんだっけ。
私が、暫くくっつけなかった中也さんにまたくっついて、安心して、心地よくなって、いつのまにか解決してたんだっけ。
『…?』
紅茶の香りがする。
それと一緒に、中也さんの香りがする。
カタカタという音が耳に柔らかく響いていて、身体を動かしてそちらを向けば、中也さんが仕事をしていた。
私の身体に熱を取るようにと、的確な場所に冷却用のタオルや氷枕、保冷剤等があてられていて、中也さんの外套がお腹にかけられている。
氷水の入っている容器や乾いたタオルが何枚か、そしてスポーツドリンクが置いてあるのを見ると、一目で中也さんがみていてくれたのだと気がついた。
『……中也さん、?これ…』
上体を起こして彼の名前を呼べば、中也さんはそれに気付いてこちらに振り返り、私の元へ歩いて来る。
といっても私の様子を見る為なのか、ソファのすぐ近くにあった机を使って仕事をしていたため、すぐに私のところに来てくれたのだけれど。
「起きたか。具合はどうだ?寝てんのを見てた限りではもう寒くはなさそうだったから、首領に診てもらって熱中症の処置をしてたんだが」
私と目を合わせるよう腰を屈めて頭を撫でる中也さんに、胸があったかくなっていく。
『ん…だいぶ平気になりました。これ、全部中也さんが?』
見た限りでは、氷枕を入れてある容器は何度か使われたような水のつき方をしている。
それに私のおでこや皮膚の薄い関節の裏などにあてられていたタオルは、まだ冷たいまま。
「あ?ああ、まあな。立原が言ってた事思い出して、夕方までにはちょっとでもマシになるようにしてたとこだ。…身体拭いたりもしたけど、俺以外誰も見てねえから」
『……そ、ですか。ありがとう中也さん、おかげでもうかなり楽に…って、私どれ位寝てました!?烏間先生にもカルマ君にも連絡せずに寝てただなんて!!』
「落ち着け落ち着け!俺が連絡しておいたから!まだお前が寝てから二時間半くれぇしか経ってねえって」
……それ結構な時間じゃありません?
