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第6章 あたたかい場所


誰だ、と中から中也さんの声が聞こえて、心臓がドキドキとうるさくなる。
そっか、中也さんっていつも部下の前とかだったら、こんな風に真っ直ぐ響く声を出すんだ。

五大幹部の一角を担うということもあってか、やはり普通の部下などからみてみれば貫禄も威圧感もあるのだろう。

いかに私に態度が違うのかなんて、こんなところでもすぐに分かったんだと今更ながら恥ずかしくなった。

「立原です。先程蝶が能力を使い、少し理由があってここに「蝶が!?」は、はい!!」

ものすごい勢いで執務室の扉をバン!と開けて出てきた中也さんは、肩で息をしている。
相当焦って動揺でもしたのだろうか、来たのは本当に一瞬だった。

「って…な、なんで背負って?手前まさか蝶に何か「いやいや、どっちかっていうとしたのは幹部の方ですって」俺!?蝶、一体何があって……!」

私を立原から預かろうと腕に触れた時、中也さんは目を見開いて私の方を向いた。
それが恥ずかしくて顔を反対側に向けるも、中也さんからの視線が刺さる。

「なんでそんな熱いんだよお前…朝から何か様子がおかしかったのは分かってたが、熱でもあんのか?」

『気づっ…!?……な、ないですよ!多分…』

「多分?」

私の曖昧な返しに聞き返した中也さんに、立原が熱中症の疑いがあることと寝不足だったということ、そして軽く能力が暴走状態にあるのか身体の表面と内側との温度差が酷くてどうしようもない状態になっているということを説明する。

説明が終わる頃には中也さんの腕に横向きに抱きかかえられており、恥ずかしいのも勿論あるけれども、こんな小さな事が原因で身体が欲してたまらなかった中也さんに……中也さんの暖かさを求めていたのか、本能的に首元に腕を回してすがりついた。

「成程な、先に寒いのを何とかしねえと熱中症なのか風邪なのかも結局はよく分からねえ上に対処出来ねえってことか。説明感謝する」

「はい、では俺はこの辺で失礼させていただきます。蝶、幹部なら治せる可能性があるんだろ?ちゃんと何でも言うようにしろよ」

立原が私に一言残して退室して、結局執務室には二人だけになった。

「…………蝶、お前寝不足ってどういう事だよ。それで何か朝から様子が変だったのか?いつもなら俺に擦り寄ってくんのによ」

『擦り寄ってとかっ…ね、寝れなかっただけですもん』

「ふーん……?」
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