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第6章 あたたかい場所


『んっ、…!』

「お?何だよ、やけに今日は可愛らしいじゃね…痛ぁっ!!?」

背負っていくという立原の背中に恐る恐る掴まると、立原はヒョイっと軽く立ち上がってみせた。
いきなり視線が高くなったり、浮遊感にちょっとびっくりしたというのもある。

しかし何より、思ったよりもしっかりしてる立原の背中にびっくりした。

それが余計に何だか悔しくなって、後ろから馬鹿にしかけた立原の後頭部に頭突きをする。
これはこれで中々頭に響く、しまった、頭痛が悪化した。

『……っ、頭痛い』

「お、前っ…絶対ぇ馬鹿になってんだろ今日、調子悪いんだから大人しくしとけって」

「…んじゃ、俺烏間先生に説明してくっから立原さんよろしくね。蝶ちゃん、ちゃんとなおさないと夕方行けないよ、絶対なおすんだよ」

カルマ君に念を押されて、立原は何なのか分かりきっていない様子だったのだが、コクリと小さく頷いた。
それを見てカルマ君は保健室から出ていってしまい、立原は扉に入って私を拠点に運ぶ。

扉を閉めてんじゃ行くぞ、と一言言った立原に短い返事をして、立原に背負われたまんま、能力も無しに運び始められた。

『…………ねえ立原、その…お、重くない?手、疲れない?私背負ってて辛くない?』

「本当、こういう時素直になるよなお前。大丈夫だよ、心配しなくてもお前全然軽いから…寧ろあんだけ食っててなんでこんなんなのか気になるくれぇだよ俺は」

立原が妙に中也さんみたいな言い回しをするものだから、思わず腕に少し力を入れた。

『素直とか知らないもん…立原あったかい。人の体温が一番暖かくなるね』

「!そうか?俺はお前の肌の温度しか分かんねえからすっげえ熱く感じるんだが…お前にとっちゃ、幹部にくっついてもらうのが一番あったけえんだろうがな」

『やっぱり外側熱いんだ…そう、かな。中也さんもあったかくなってくれないかなぁ』

心の底からあったかくなる感覚…中也さんに触れられる度に感じる心地良さに、心の底からそう思った。

「俺でも十分あったけえから幹部はもっとそうだと思うぜ。俺の何倍も心地好く思ってんだろ、あの人なら」

『!…立原も、あったかいの?良かった、嬉しい』

「……そうか、そう言ってもらえると俺も嬉しいぜ。…ほらよ、着いたからノックすんぞ」

気づけば中也さんの執務室の扉の前。
立原がノックする音が響いた。
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