第6章 あたたかい場所
扉を作るよう促され、拠点での立原の部屋へと扉を作る。
「烏間先生には俺から能力とか体質とかの関係の可能性あるってちゃんと説明しとくから。とりあえず立原さんか誰か呼んで運んでいってもらえばいいよ」
上体を起こそうとした私の肩を軽く抑えて大人しくさせて、カルマ君は扉を開く。
時間帯が時間帯だからだろうか、立原は都合のいい事にぴったりそこにいて、突然現れたカルマ君に声にならない声をあげて驚いている。
「お、お前赤羽っ…ど、どっから……って蝶だよな!?こんな事すんのあいつしかいねえ、何のドッキリだよ!?」
「ちょ、立原さん煩い。とりあえずこれドッキリでもからかってるわけでもないから、とりあえず蝶ちゃんを中也さんとこに運んであげてくんない?」
「は?…蝶を?」
私を運ぶと聞いて、立原の声のトーンが下がる。
そしてカルマ君が立原をこちらへ来るよう促して、足音がこちらへ近付いてくる。
情けなく横になっているところを見られるのがなんだか恥ずかしくなって湯たんぽで顔を覆ってそっぽを向いていれば、今の状態をカルマ君が説明してくれた。
「それなら俺んとこなんかじゃなくって、最初っから幹部んとこに行けばよかったんじゃ…ああ、お前恥ずかしがり屋だったなそういや」
そろそろ私の事を理解してきた立原に図星をさされてちょっと悔しくなった。
「しかも昨日の例の件のせいで思い出してかなり恥ずかしがっちゃってるからねぇ…寝不足の原因多分それだし」
「成程、そりゃ余計に幹部が原因になるわけだ。そこまでシてんならこいつには相当刺激強いわな」
二人の会話に少しついていけなくなって目だけを覗かせれば、立原とぱちっと目が合った。
『……ち、中也さん今大丈夫、なの?私、会っても…邪魔にならない?』
「幹部はいるはずだぜ。何してんのか詳しくは流石に首領じゃねえと分からねえが、大まかには何かがあった時の防衛みてえな形で待機だしな。それにお前が会いに来たら邪魔になるどころか内心泣くほど嬉しいだろうよ」
『な、泣くほど?…親バカ』
ぽつりとこぼせば、カルマ君も立原も苦笑いになった。
「あー…はは、まあ確かにそれもあるかもな。んじゃあ背負って…って、お前寒いんなら上着貸そうか?」
「立原さんほら、一応蝶ちゃん熱中症の疑いあるから」
「そりゃとっとと幹部んとこに行った方がよさそうなわけだ」
