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第6章 あたたかい場所


「言っちゃえばいいじゃん。前も中也さんが何とかしてくれたんでしょ?それなら今回だって…というより、毎回こういう事あったら大概中也さんが原因なんだし根本的なところを解決しないとダメでしょ」

『う゛っ…』

中也さんが原因だとは思いたくないのだけれど、実質思い当たる節があり過ぎる。
それに前に何とかなったって方法だって…結局中也さんとキスして治ったし。

え、何、私中也さんに嬉しい事してもらったら治る感じなのかな。
昨日の夜のは恥ずかしすぎてノーカウントでダメだったって事?
そういう事?

恐ろしい仮説が頭の中に浮かび上がって、熱いから恐らく赤いのだろうけれども、顔を青くする。

「え、なんか蝶ちゃん顔色悪くなってる?」

顔をフルフルと横に振りながら、湯たんぽを胸に抱きしめる。

『丁度いいくらいのって何…っ、厄介、本当に厄介!!』

「うん?とりあえず何か分かったんなら実行してみたら?」

『実行!?』

頭の中にポンポンと、止まることなく中也さんの至近距離での表情が思い浮かぶ。
そして思い出す感覚は…深くされて頭の中も身体も中也さんしか感じられなくなるような…私という存在そのものが中也さんに支配されてしまったようにおかしくなるような、けれども気持ち良すぎてとろけてしまうキス。

中也さんに抱きしめてもらって、頭を撫でてもらって…それがちょっと前までの私の嬉しさの最高レベルだったはず。

____あんなの知っちゃったら、覚えちゃったら、前までの感覚になんて戻れないよ。

「…蝶ちゃんの事は多分蝶ちゃんにしか分からない部分もあるだろうし。それにほら、今日夕方までにちゃんと動けるようにならなくちゃ、殺せんせーと買い物行けないよ?買うんでしょ」

『!そ、そうだ…帽子……っ』

覚悟を決めて、一か八かやってみるしかないのだろうか。
こんな理由でしたくなってきちゃっただけだなんて事で、お願いしてしまってもいいのだろうか。

昨日は気が焦りすぎて自分からしたとはいえ、中也さんとはそういうはっきりした関係にはなれていないのに。

「可能性があるんなら行ってみなって…そんな中也さんに会いたそうな顔してるくせに何でまだ迷ってんの。大丈夫だよ、蝶ちゃんになら何されたって嬉しいだろうからあの人は」

『……カルマ君てエスパーなの?』

「ううん、蝶ちゃんが分かりやすいだけ」
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