第6章 あたたかい場所
照れるのに勝てなくてカルマ君の後ろにそっと隠れれば、中也さんが暫く硬直してこちらを見ていた。
「えっ、蝶ちゃん何でまた…」
『だ、だって中也さんが恥ずかしいのばっかりするからっ…ダメ?』
「……そんな可愛く言ってもダーメ。なんなら今日は、中也さんの代わりに俺が一緒に寝てあげよっか?」
中也さんがはっ?と拍子抜けした声を上げる。
私も暫く何も言えなかったけれど、清々しい笑顔をこちらに向けるカルマ君からちょっとだけ離れて首を横に振る。
『だ、ダメだから…な、何そんな恥ずかしい事言って……!ち、中也さんが悲しくなっちゃうからダメだよカルマ君っ、私が中也さん以外の誰かと一緒に寝たらまた中也さんが何か心配するから』
太宰さんと寝たと知って前に中也さんが取り乱した時のことを思い出して、男の子と寝るのはダメなのだと思い出した。
そうだ、それをしたら中也さんが心配してまた取り乱してしまうではないか。
「……へえ、その辺はちゃんと教えてもらってるんだ。流石中也さん、用意周到だね…って何でまたそんな感涙してんの」
カルマ君が言ってから、中也さんが勢いよく私のところに来てギュッとして、物凄いスピードで偉い、偉いぞ!と撫で始めた。
まるで我が子の成長に感動した親バカな父親のように。
例えるならあれだ、他の男の子を選ばずに将来はパパのお嫁さんになるの!と言われて子供をベタベタに褒める親バカ……ああ、そこでもやっぱり私は子供か。
『ち、中也さん頭!…な、撫ですぎっ、離れてよもう!やっぱり親バカ!!』
親バカと発した瞬間に手がピタリと止まった。
何事かと思ってへっ?と中也さんとカルマ君を交互に見れば、カルマ君がお腹を抱えて笑いこけていた。
「プッ!あっはは!!蝶ちゃん最高!いやもうここまでくると中也さんに同情も出来るかもね、自業自得なんだけどさ!」
『か、カルマ君?……わああ中也さん!?顔色悪くなってる!!』
「お、親バ…っ、何だこの天然生物………俺、本当にやれんのかこれ」
中也さんの顔色がとても悪いものになっていって、焦って中也さんの肩を揺らす。
「蝶ちゃん、確かに中也さんは親バカだけどさっきのはちょっと違うよ…まあ面白ぇしいいんだけど…プッ、親バカ」
『わ、分かった!一緒に寝るから、寝ますからッ!』
「言ったな」
その刹那、中也さんにデコピンをした。
