第6章 あたたかい場所
突然中也さんの指で顔を撫でられ、クリームを掬い取られる。
そしてそれをまた彼は、あろう事か自分の口に入れて舐め取るのだ。
「…あっま……」
声にならない声で顔をバッと赤くして中也さんの方を向いていれば、カルマ君が摘み食いと言うように既に盛り付けが終わっていたデザートに手をつけ始めた。
「付き合ってらんないわ、先食べとくねー」
『な、っ、何で…え、舐めっ!?えっ!!?……ッ、』
中也さんが次々とクリームを掬い取ってはそれを食べていき、最後、口のすぐ側に垂れていたクリームを直接食べるようにして、ペロリと唇も舐める。
それに思わず口を開く習性がついてしまったのか、うっすらと口を開くと、舐めとったクリームを半分口の中に入れられて、舌でそれを上手く残して食べさせられた。
『~~ッ、顔洗ってきますからあ!!!』
恥ずかしすぎて一刻も早く中也さんから離れたくて、硬直した身体を能力で無理やり洗面台まで移動させる。
「あ」
「ハア……中也さん今日はもう禁止令出てたんじゃなかったの?」
「そうだったか?悪い、多分それ俺聞いてねえわ」
「随分都合の良い耳な事で…目の前でイチャつかれる周りの身にもなってよねー」
二人の会話が聞こえて、咄嗟にイチャついてないから!!!と声だけで反論する。
こ、こんな恥ずかしいの、イチャつくも何もないじゃない!!
「……んー、やっぱりまだ足りないみたいだね。ドンマイ中也さん」
「おう、もう開き直る事にしてる、悪いが俺はしたくなったらするタチだからな」
「好きすぎでしょ、でもそれ学校に来ることがあったらやめてあげた方がいいと思うよ。蝶ちゃん恥ずかしくなりすぎちゃって今度こそ変態認定されちゃうだろうから」
「…他の奴にはしねえから変態も何もねえだろ、こんなもん誰だってなるだろ?普通」
『なんて会話してんの二人共!!?もう今日カルマ君が中也さんと寝て!私一人で寝るから!!』
二人のもとに戻ってそう言い放った瞬間、二人共が顔を青くして大人しくなる。
「ちょ、まって蝶ちゃん、それ何の罰ゲーム?俺は二人が仲良くイチャイチャしてんのを邪魔しないように努めてたのにさ」
「何で野郎が二人同じベッドで寝なくちゃならねえんだよ!?だから俺は一人ならソファで『だ、ダメです』ああ!!?」
『か、体に悪いから…っ、でも今日は恥ずかしいの』
