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第6章 あたたかい場所


「……ハッ、…………俺の勝ち、っ……ハアッ、」

『~~~!!!私を何だと思ってっ…はぁっ、はっ…あ……最後大人気ないの使ってましたよね!?』

スピードを強化するところまではよくある事だったが、重力を変えてくるやつなんかいねえから、蝶の重力をいじった事なんか殆ど無かった。

今回はあまりにも長引きそうだった上に蝶にキスをしたくて使ったため、本当に蝶の言う通り、大人気ないことをしたのだ。
俺の異能でそうしたから、俺は重力があっても関係なしに、自由に動き回る事が出来るのだから。

反論して怒ったように言うものの俺から離れる気配も抵抗する気配もなく、その上恥ずかしがってくれているためにまたキスをしたくなる。

「悪かったって、でも仕方ねえだろ?かれこれ二十分くれえは続いてた挙句、お互い決着つきそうになかったじゃねえか……俺は蝶に直接攻撃したくねえし、キスならしてえし」

『最後おかしいっ!!!』

「そんなカッカすんなって…まあ仕方ねえか、蝶はもっと俺にめちゃくちゃにされんのが好きだもんな…………っ、悪い、ギブ……ギブだっ…調子乗ったっ」

蝶をからかってみれば、案の定首に抱きついてきて絞められた。
照れて可愛いことするついでに俺に物理的に仕返ししてきやがるから拒もうにも拒めねえし、首は効く。

『お、乙女の唇をなんだと思ってるんですかぁっ…!!』

相当恥ずかしかったのだろう、喉をひくつかせて泣き言を言うように抱きしめてきやがる。

「……やべぇ、もっかいしたくなってきた」

『〜〜〜ッ、今日はもうダメなの!!!』

私が甘えるのっ、と持病モードに戻ったのか、擦り寄ってきた。
今日はと言っているあたりが蝶らしい、されても満更じゃねえみてえだ。

「はいはい…んで?甘いもん、食いに行きてえか?姫さんよ」

『!………行くっ、今日はパフェも食べる!!あとかき氷!』

「何件回る気だよそれ…っし、んじゃお前もマッサージしてろ」

蝶は大人しくマッサージとストレッチを初めて、俺もすぐそこで筋を解す。

するとそこに、少し遠くで見ていた四人が来た。

「か、幹部…最後……」

「ああ、ついしちまった。殴るより良いだろ」

「完全に開き直り始めたよこの人…てか何、普段マッハ二十の音速ばっかり見続けてる俺が目で追いきれなかったんだけど」

「これはまあ手本にすんな。普通いねえから」
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