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第6章 あたたかい場所


俺の予想は見事に外れて、予想もしていなかったような言葉が帰ってきた。

『トウェインさんはまた明日来るって言ってから、もう二日は来てない。ポートマフィアが拠点を落としたんなら、何か対策を立て始めていたっておかしくない…椚ヶ丘に来たっておかしくないし、アレを持ってる可能性だってある』

アレというのは恐らく枷の事。
蝶の能力を…否、蝶が能力を使おうとするのを防ぐ、あの枷。

俺は蝶を初めて見つけた時にこいつが付けているのを見たっきりだが、首領や色んな研究機関に持って行っても、成分も仕組みも、何もかもが分からなかった。

「……安心しろと軽々しくは言えねえが、よっぽどの事でもねえ限り、拠点を失った組合が集団で動く術はほとんど無い。寧ろ沖縄だなんて遠い場所の方が安全だろ」

カルマは組合というものが探偵社の敵であるとしか聞かされていないのだろう、話があまり掴めてはいないようだ。

『もう、鍛えようが無いの?強く、なれない?』

「酷な事を言うかもしれねえが、正直言えば俺には無理だと思っている…それは前にも言った通り仕方の無い部分だ。何でそこが何とかならねえと強くなれねえかって…それは、やっぱりお前がもう十分に強いからさ」

『………じゃあ、せめて耐えられるように…太宰さんみたいに「蝶」!…ごめん、なさい』

太宰がしていたように鍛えてくれと言った蝶を、少し威圧して無理矢理黙らせた。

「あの方法は、芥川の性格と性質だからこそのもんだ、分かってんだろ?それに、俺がお前にそんな方法を取れるわけがねえだろうが…そういうのだけは勘弁してくれ」

『……はい』

耐えられるように、太宰がしていたように…つまり、俺に蝶が限界になるまで痛めつけろと言ったのだ、こいつは。
そこまで不安に駆られているのかと、今まで何気なく過ごしていた間もずっと不安だったのかと改めて思い知らされ、更に自分が悔しくなる。

「………能力ありの実戦なら、一日一回だけなら本気で相手してやる。あれなら大丈夫だろ。前と同じで、お前が壁を使ってそれを俺が砕けば終わりだ」

『!!…うんっ』

俺が異能力を発動させても、蝶がテレポートで避けきれないギリギリのところまで追い詰められても、壁を使えば、俺になら破壊されるとはいえ時間稼ぎが出来る。

こいつならその瞬間にどこかに移動して、俺に手を上げさせないように出来るはずだ。
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