第6章 あたたかい場所
「ベタ惚れだね中也さん、あんなにすまして俺らにはそんな素振り見せもしてなかったのに」
「ああそうだよ、だからとりあえずあいつが満足するまでやって後は俺が抑えとけば丸く収ま………ああ!?ベタ惚れ!!?」
あー煩いよ、と耳を態とらしく両手で塞ぐカルマ。
カルマは元から蝶にキスしたところまでは聞いていたのかいつもの調子だったが、他の三人はというとやはりそれなりの反応を見せていた。
「まさか中原君がそうだとは…時の流れを感じるね」
「ジィさん渋いな……にしても気絶するレベルとか幹部、蝶に何したんすかいったい」
「…………ちょっと前戯をしたくれえだよ、いやもうマジで理性持ってかれるかと思った、あいつ怖え」
今更ながらにも蝶は本当に感度が良い。
異常なくらいに感覚が鋭敏で敏感なのだ。
ほぼ初めてすんのに、開発もなしにキスや胸や陰核だけでイく奴なんか聞いた事もねえぞ。
「蝶ちゃんそういう知識無さそうなのに…って考えると中也さん、さては結構手慣れてる?」
「はあ!?俺がここに入ったの十四の時だぞ、すぐに蝶を見つけて育ててきてんのに手慣れるも何もねえだろ!つか蝶の教育に悪いんだよ!!」
思えば今日の事も…カルマの言うエロ本騒動だってそうだ。
それさえなけりゃ蝶にあんな事をすることもなかった…俺が腹を決めて、数日後に例のアレを購入してから蝶にこの気持ちを伝える羽目になんかなっちゃいなかった。
まあ、逆から考えればこいつのおかげで蝶との関係性がはっきりするのかもしれねえから、まあ悪い奴ではないのだが……なんせ太宰の野郎とイメージが被る。
「あれ、もしかして中也さん結構な期間片想い続けてた感じなの?」
「俺はあいつを見つけた時からあいつを手放すつもりなんかさらさらねえんだよ!!」
ヤケになって言ってやれば、カルマと広津さんから肩をぽん、と叩かれ、立原と樋口からは何とも言えないような生暖かい目を向けられる。
「どいつもこいつも、人を鴨のようにしてネタにしやがって…」
「だって蝶ちゃんならともかく…中也さんがあんだけキスばっかしてたんだから。蝶ちゃんみたいな子相手にあーんな刺激の強いものばっかりしてさぁ」
「今日は少しは抑えてたぞあれ。流石に人目があったから気は遣ったんだが?」
「え、あれで!?あれでそうなら普段一番教育に悪いことしてるの中也さんなんじゃ…」
