第6章 あたたかい場所
俺の雰囲気が変わったのを察してか、それ以上は誰も深く聞いてこなかった。
しかしここで爆弾を投下しやがるのがド天然野郎立原道造。
「つってもあの蝶が自分から深いヤツなんか何でし始めるんすか?しかもさっき、執務室で気絶したばっかって…」
「き、聞くんですかそこ」
「え、何か問題あんのかよ姐さん?」
樋口も広津さんも立原にえ、という目を向けていて、カルマに至っては俺の方を見てニヤついてやがる。
「なになに?中也さん、昼間のエロ本騒動のせいで蝶ちゃんに遂にもっと手ぇ出しちゃった??」
「エロ本騒動!!?」
「ブッ!!!…ッホ、ゲホッ!!」
噎せ返っていればカルマが三人に、昼間俺が焦っていた理由を説明する。
すると、ああそれで…、成程、と三人とも何故か苦笑をこちらに向けてくる。
「いや、待て手前ら!俺はちゃんとやめとけって言ったからな!?蝶の奴がしつこく言うから!!」
「あ、本当に手ぇ出しちゃったんだ?行動に移す分には素直なんだねえ!」
「カマかけやがったな手前!!?」
ああダメだ、カルマを見てると頭の中に糞太宰がチラつきやがる。
しかしここで否定していればまだマシだったのではと即座に気が付き、その場の全員の目の前で先程蝶と何をしていたのかがバレてしまった。
「手ぇ出したって、まさか本当に蝶の奴にキスの先を!?んで気絶したとか…まあ確かにあいつ感覚が鋭い方だったような気が」
「そうなんだよ……俺何回も断って我慢してたのに食い下がってくれねえんだ。しかもあいつ可愛くねえか?可愛いだろ?分かるよな、俺マジで耐えてたんだぜ?」
立原の言葉についつい敏感な蝶を思い出して何故か同意を求め始める。
ああダメだ、それもこれもきっとあいつが可愛いすぎんのが悪ぃ、そうに決まってる。
「え、っと…蝶ちゃんと、先をしたって……さ、最後まで?」
「んなわけねえだろ!!?」
樋口の問題発言に、ここだけは全力で否定した。
「馬鹿か手前は!?それだと完全に加害者になっちまうだろうが、犯罪だぞ犯罪!!相手は中学生だ!!!」
「犯罪って、ここポートマフィアじゃん」
「そういう類のもんよりもタチが悪ぃんだよ!相手が誰か分かってんのか!?蝶だぞ!!?んな事出来るわけねえだろうが!!」
ロリコン…というわけではないはずだ。
だが蝶の見た目がああなだけに、絵面がヤバい。
