第2章 暗闇の中で
「俺は、蝶ちゃんと同じクラスで席が隣の、赤羽業。蝶ちゃんの友達だよ。」
名前を名乗ってから、新幹線の屋根上に飛び移るポートマフィアの様子が見えた事を伝える。
「ほう、あれが見えたのか。手前中々いい動体視力してんじゃねぇか。」
「いやいや、それほどでも。…で?中也さんで間違いないよね?」
森の様子を伺い、森が相槌を打ち、会話の許可が降りる。
「ああ、俺が中原中也だ。俺の名前を知ってる理由は、あいつから聞いたとかだろ?」
「うん、あれでしょ?名付け親。」
「名付っ…!、?」
突然の言葉に驚く中原。
そして笑いを堪えてなんとか平生を装う部下達と、堂々と目の前で笑い転がる森。
「ま、間違ってはねぇ、な。…で、手前の目的は一体何なんだ?赤羽」
「俺の目的は、今回の修学旅行で、蝶ちゃんをあんたに合わせる事だよ。俺とか他の奴らがいると、中々素直になれなさそうな性格してるし、二人きりの方がいいだろうと思って。」
「あいつがか?素直を身体で表現したような奴だぞ?」
そう言うと、赤羽はそうじゃなくって、と反論する。
「さっき、聴いてたでしょ?俺には聴こえなかったけど、かなり魘されてたみたいだし。周りに気を遣って、蝶ちゃんいつも強がっちゃうからさ。思いっきり、中也さんに甘えさせてあげたいんだよ。」
「甘えさせるって…でも、俺は未だあいつと会ってもいいのか悩んでるような状態だ。折角学校にも通いだしたんだし、ポートマフィアなんかと関わり持つのはちょっとあれだろ?」
軽く、現在の心境を話される。
しかし、たったこれだけでも蝶のことを思っているということはよく分かる。
「あれ、聞いてないの?俺達のクラス、“暗殺教室”なんだよ?そんな人達何人だって関わり持つし。何よりあんたに来てもらわなきゃ、蝶ちゃんが、自暴自棄になって今にも自殺するんじゃないかって思うくらい弱ってるんだ。」
それに、何か思う事があっても、結局俺や太宰さんじゃ出来ることなんて知れてるし。
赤羽の言葉に中原は黙り込む。
自殺?確かにさっきの寝言なんて聴いてりゃ、相当精神的に参ってんのは分かるが。
「…善処する。でも赤羽、何で手前はそこまで蝶のために動く?」
探りを入れられるものの、それも蝶を思っての事なのだろうと納得して赤羽は答える。
「可愛い女の子が泣いてたら、普通助けるでしょ。」