第6章 あたたかい場所
「そんなに俺の事叩くんなら、もっとここでしてやってもいいんだぜ。お前さっき執務室で気絶したばっかりだが…もつのか?」
「「「ブッ!!?」」」
『なっ…あ……っ』
皆の前でなんてこと言うのこの人!!?
しかもさっきああなったのはもっと色々と要因があって…!!
なんて言えるわけもなく手をピタリと止めて、中也さんの首を腕で抱きついて締め付ける。
「ぐッ!!?そ、うきたかお前っ…降参、降参だ!!」
『……上着取ってくる…ッん、ッ…………今日は中也さんからするのもう禁止だからね』
「ッ!?…………おい、蝶!!?」
中也さんの執務室への扉を作って無理矢理その場から逃げ出した。
仕返しと言わんばかりに、中也さんによくされるように、やり逃げでチュ、とキスをして。
『う、上着忘れてきただけだからッ!別にそれ以外に何も無いんだから!!』
意味もなく恥ずかしいのを必死に隠して、中也さんの制止も聞かずに扉を締めて移動した。
「……ぐっ、やってくれるぜ蝶の奴…………あーダメだ、敵う気がしねえ。何なんだあいつはいったい」
蝶の奴が扉を消してしまってからその場にへたり込んで、口元を片手で押さえて顔の熱が冷めるのを待つ。
「中也さんしてやられたねぇ、途中までいい感じのペースでもっていってたのに…あんな小さな女の子にディープキスまでしてさ!」
「あれは元々蝶の方からし始めたんだっつうの!!手前んとこのあの女教師が教えたとか言ってな!!」
必死にカルマに食いかかってそう言えば、えっとカルマは目を丸くする。
「ビッチ先生は確かに公開ディープキスとかよくしてっけど…蝶ちゃんがいる時にやった事、無かったと思うよ?」
「……はっ?あのハニートラップの名手じゃねえとしたら、んじゃあいったい誰が教えて…………っ、ああクソッ!あいつどこまで俺に気遣ってやがんだ、ったく!!」
頭の中に一つの仮説が浮かび上がって、頭が冷静になった。
「蝶ちゃん、誰かと付き合ったりなんてしてた事ないですよね?中原さん、何か知ってるんですか?」
「…あいつがまだ俺以外に話してねえんなら話せねえよ。蝶は確かにまだ誰ともそういう関係にはなっちゃいねえが、それはあくまでもあいつが白石蝶になってからの話だ」
つい口を滑らせすぎた。
全員わけのわからないといった顔をしている。
「…何でもねえ」
