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第6章 あたたかい場所


『中也さんは…そういうのじゃない子にも、出来るの?自分からしようって思えるの?』

そういうのって…と中也さんが声を漏らせば、カルマ君が遂に中也さんに説明する。

「蝶ちゃん、さっき中也さんがムキになった時にね、扉作って聞こえちゃったんだってさ。それもタイミングの悪い事に最後の方だけ」

『…タイミング……?』

私も中也さんも気になって、大人しくなる。

「流石にこれ以上言うと二人から怒られちゃうから、俺立原さんと訓練しとくねー」

「え、いいのかよあれほっといて!?」

いいからいいからーとカルマ君は立原を連れて言ってしまう。

「中原君、女性は繊細なんだよ。蝶ちゃんは君に…君が大好きなだけ、もっと繊細で怖がりなんだ。そのあたりを忘れてあげないであげてくれないかい」

広津さんがポートマフィアの人間としてではなく、飲みに行く時のような口調で中也さんに話しかける。
私が中也さんに惚れているって、それかもしくは懐いているという言い回しをしなかったのは、きっとカルマ君と同じ気遣いだ。

「その、恐らく蝶ちゃん、本当にちゃんと全部言葉にして言ってますから。向き合ってあげて下さい、立場とか自分の事とか置いておいて、まず蝶ちゃんの気持ちを大事にしてあげてください」

「ほう…流石は同性というだけあって的確な事を。」

「焦れったすぎて私まで幹部には思うところがありますから。こんな事までしておいてお預けばかりされてるのに耐えてる蝶ちゃん、本当に凄いと思います。普通もっと怒ってもいいと思いますけど」

突然樋口さんに女の人特有の恋愛熱が入り、さしもの中也さんにもその熱気が伝わってか、ヒッ!?と青い顔をする。

「蝶ちゃん、もっとわがままになってもいいのよ?そこまで許しててずっとぐだぐだしているまんまじゃ普通皆我慢出来ないんだから」

『!…我慢?私、我慢してたの……?』

ピクリと中也さんが反応した。
確かに、初めてされた時からずっと、何回もこの関係をはっきりさせようと中也さんに聞いた事があった。

でも、それは待っててくれないかと中也さんが滅多にないお願いをしてどうしてもと拒むから…出来るだけ聞かないようにしてきていた。

「それで今日みたいに全部溜め込んじゃってたんでしょう?蝶ちゃんはもう十分に言ってきてるんだろうから、もうこれ以上溜め込む必要ないよ。…いいですよね?」
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