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第6章 あたたかい場所


「なっ!?んなわけねえだろ!!なんて事言ってやがるカルマ手前!!?」

はははーと笑うカルマの周りの奴に目をくれると、何故か目を見開いて俺の方を全員見ていた。

「いや、だってお昼ご飯同じ所で食べてたんでしょ?蝶ちゃんの愛妻弁当持って他の女の人と食べるだなんてさぁ」

「だから、俺は蝶以外の奴になんか興味ねえんだって何回言えば分かるんだ!?今日昼に部下共を集めて飯食ってたのは、蝶に渡すもんを決めるために……で…」

カルマに上手く乗せられて全て暴露してしまった俺に、広津さんまでもが困り顔で笑顔を浮かべる始末。
立原や樋口なんかに至っては、これでなんで付き合ってねえんだ?
どこからどうみても恋人同士なのに、だなんていう会話を繰り広げてくれている。

「て、手前らどこをどうみてんな事言ってんだよ!?」

「いや、だから蝶の奴も幹部の事大好きですし」
「中原幹部も昼頃から皆の前で…こ、告白まがいの事を仰ってますし」
「キスまでしちゃってるんでしょう?しかもあの言い草だと一回二回の事じゃないよねえ??」

広津さんの方に助けを求めて目を向けるも、ゲフン、と咳払いを一つされるだけだった。

「また話がややこしい事に…!!俺がそう思ってるって事はもう認めてやるよ!!だが蝶はなあ!?」

つい感情的になって、でけえ声でその場に響き渡るように…

少し間を置いて、自分の頭の中に思い浮かぶもしもの…どちらかというと見て見ぬふりをしているような蝶の俺への想いを。

ヤケになって自分に言い聞かせるように、自惚れるなと戒めるように、ハッキリと言いきった。

「……っ、蝶は、あいつは俺に懐いてるだけなんだよ!恋愛感情だとか、そんなもんを持ってるはずがねえだろ!!」

「……あ、の…幹部っ?」

「中也さん、何もそんな感情的にならなくっても…」

焦ったような、驚いたような…どうしてそんな事を言うんだと言うような目で、三人は肩を震わせる俺を見る。

「…頼むから、あんまり焦らせねえでくれ。あいつは、そういうんじゃねえからよ」

その場が静まり返って沈黙が流れていたその時。

突然白い蝶がヒラリと舞って、俺の所にあいつが飛び付いてきた。
あいつが…気を失っていた蝶が、空間を超えて俺の元に抱きついてきた。

「う、おっ…!?蝶!!?」

『中也さん…っ、中也さんの馬鹿!!……置いてかないでよっ』
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