第6章 あたたかい場所
「はー……クソ、余計にキツくなってきやがった」
クタリと自身の腕の中で気を失った少女のナカからヌルリと指を引き抜いてそれを舐めると、少女の蜜の甘味が広がって更に自身が主張をする。
危うく蝶に処理なんかさせるところだったとヒヤヒヤするも、内心は腕の中の少女をもっと滅茶苦茶に狂わせて、もっと恥ずかしがらせて、もっとこの先の快感を味あわせてやりたいだなんて思ってやがる。
自分のタチの悪さにこれ程までに気付かされる時があるだろうか。
「…ハア、我慢だ俺、それだけは耐えろそれだけは」
純粋無垢なこの少女に……もっと根本的なところ、俺が蝶の事を女として好きであるという事を分かっていないこの少女に、理性の無いただの男となる俺を見せるんじゃねえ。
汚ねえもんを見せて、あわよくばこいつの言うように舐めさせるだなんてこと…死んでもするんじゃねえ。
それでもそんな事を考えるだけで、喉をゴクリと鳴らして、自身を反応させてしまう。
何がまだ子供なんだからだ、本人の言う通り、一番子供なんかじゃねえって感じてんのは紛れもない俺自身だろうが。
「お前、分かってんのか?俺の我慢がどれ程のもんか…お前が俺に擦り寄ったり好きだなんて口にする度に、こっちは平気なフリすんの大変なんだぞ」
悪態をついてはいるが、言動とは裏腹に優しく蝶の額に口付けをおとしてやる。
好きなようになんか、出来るわけがねえ。
こんなにも愛しく思う女、今までにいなかった上に、相手は一応中学生なんだ。
一線を超えるのは、まだ早い。
お互いの気持ちがお互いにはっきり伝わるまでは…少なくとも俺は蝶の事をそういう風に見ているという事が伝わって、その上で蝶から合意を得られるまでは。
いくら可愛く頼み込まれて、いくら切なく胸が締め付けられたって、最後までしてやるつもりは一切無い。
「……大人なんだ、しっかりしろ俺」
自身の胸の高鳴りや熱を無理矢理押し込めるように沈めて……前のように、否、いつものように…何事も無かったようにして、自身を鎮める。
そして何を思ったのか、ほんの出来心でオフショルダーになっている少女のトップスを少しだけ捲りあげ、そこにキスをする。
蝶からしてみれば左胸の下あたりだろうか。
髪からの反射で一層白く見える蝶の肌に、赤い華を一つだけ咲かせて、少女の格好を整え直し、腕で口元を拭った。