第6章 あたたかい場所
「そもそも岡島が男のロマンだとか言い始めるから変な事になるんだろうが!?蝶は頭が良いから飲み込みも早ぇしすぐ賢くなっちまうんだよ!困った事に!!」
褒められてるのか何なのかよく分からない状態で、私と前原君ももう何も言えずにそちらに目を向けている。
親バカ?…うん、親バカ、なんて会話をしているうちにも、教師がポートマフィアの幹部に正論で説教されているという何とも形容し難い図が出来ていて、私達もそちらに動こうと立ち上がった。
「仰る通りでございます……で、でも中原さんは興味無いっすか!?本当に何とも思わないんっすか!!?」
あくまでも自分の意思を貫き通して聞く岡島君だが、その答えは私も聞きたいものだったために、止めもせずに前原君と歩いていく。
「興味なんかあるわけねえだろ、馬鹿か手前は!?何で俺がんな女共に欲情しなくちゃならねえんだよ!!!」
『欲じょっ…?』
「ああ!また白石が穢されて…!!」
頭を抱える前原君を横目に首を傾げていれば、それでも負けじと岡島君が必死に訴えかける。
「でも思うところはあるでしょう!?想像してみてくださいよ!!」
そしてそれに対する返答で爆弾を投下するのが中也さんだった。
「だから想像も何も俺は蝶以外の女なんかに興味なんかさらさら無えんだよ!!それ以上いらねえ事あいつに教えんな!分かったか!!?……ああ!!?」
スピーカーの向こうで自分の発言に気づいたのか、中也さんが焦ったような声を漏らした。
前原君にゆっくりと顔を向けられるものの、私の頭の中は真っ白になって、泣きそうなくらいに恥ずかしくなっていて、開いた口が塞がらなくてぱくぱくさせることしか出来ない。
「何、今の…公開告白?」
『ち、中也さんに限ってそれは…あれ、中也さんが興味あるの私だけで、えっ……あれ、女の人に興味なくって?いや、私以外の女の人にって私が女の子扱いされてて…いやいやいやいや』
「し、白石!?」
頭から熱で煙を出して、早足になってカルマ君達の方へと歩を進める。
「な、中原さん、今のは「何も聞いてねえな岡島?」は、はいい!!!」
「よし…とりあえず手前ら、次また蝶にんなきたねえもん見せやがったら覚悟しと「え、蝶ちゃん!?ちょっと!」」
カルマ君から携帯を取ってスピーカーをオフにして、息を整える。
「蝶?お前まさか、さっきの聞いて…!」