第6章 あたたかい場所
中也さんのみでなくて周りの三人も一斉に吹き出すのが聞こえて、言葉を続ける。
『そ、その、男のロマン?なんですよね!?…ち、中也さん私なんかよりもそういう……その、ロマン溢れるものの方が好きなのかなって…………露出とか色仕掛けとかってやっぱり大事なんですか!?好きなんですか!!?』
「いきなり何言い出してんだお前!?持ってるわけねえだろんなもん!!?とりあえず状況が分からねえ!カルマか誰かいねえのかよそこ!!?」
中也さんの声は携帯からすごい音で外に漏れていて、その場にいる皆に聞こえていた。
『だ、だってなんかいっぱい種類もあったんですよ!?オフィスとかOL、とか…玩具?とかS…M、とか調教…?とか!!』
「誰に教えられたそれ!!?カルマの奴は何してんだ!!いいから誰かに代われ蝶!とりあえず俺はんなもん興味ねえから!!」
「すんません中也さん、前原です!これ不可抗力なんで…とりあえず説明しますから」
前原君に携帯を取られて呆然としていれば、前原君が状況を説明し始めた。
私の中では、中也さんは興味がないと言ったけれどもやはりそこは心配なところなわけで、ずっと頭の中が混乱しっぱなしなのだ。
『お、大人の人の方がやっぱりいいのかな!?』
「とりあえず落ち着けって白石!前原が説明してっからすぐ返事くるって!」
『でも二人もああいうの見たら顔赤くしてるじゃない!ロマンなんでしょう!?』
「いや、普通にああいうの見たら誰でも照れるよ多分…」
『中也さんの浮気者ー!!!!』
叫んだ途端に前原君から携帯を返された。
私の無茶苦茶な叫びが聞こえていたのか中也さんは電話の向こうで浮気!!?と声を上げている。
グス、と少しだけ頭を冷静にさせて中也さんの反応を待てば、中也さんが何か言いたいらしいぜと前原君が教えてくれた。
前原君は何故か潮田君と杉野君を連れて殺せんせー達の方へ行ってしまい、その場には私と、電話で繋がるだけの中也さん二人になる。
「まず聞け、そういうもんがロマンだとかいうのは岡島の奴がそう考えてるってだけで、まず俺は勿論持ってもいなけりゃ見る事もねえから」
『で、でも、ああいうのが好きなんじゃない…んですか』
「……俺がそういう類のもんで好きなのは、お前の恥ずかしがってるとこくれえだよ」
『へ、っ…?』
プツリと電話は切れてしまった。