第6章 あたたかい場所
言いきったのはいいものの、顔にブワッと熱が集中する。
色々なタイプの雑誌の表紙や、時折その中が映されていた写真が頭の中を巡る。
『き、嫌いな人はいないんでしょう?……や、やっぱりそういうのがいいのかな、男の人って』
「まてまてまてまて!!あの人がそんな人なわけねえだろ!!?落ち着くんだ白石!!」
カルマ君と倉橋ちゃんは殺せんせーと岡島君の元へ行ってしまい、杉野君と潮田君、前原君が私を宥めるようにこちらに来る。
『で、でも男の人ってああいうの好きなんでしょう!?ろ、露出?と色仕掛け?と、後どうすれば』
「し、白石さん!あの人がそうなら真っ先にビッチ先生に取られてるって!!」
「そうだぜ白石!大体中也さんがお前以外の女に目をくれるわけがねえだろ!!?」
何故か必死に説得する三人だが、私の頭の中はもうぐちゃぐちゃだ。
『な、ならもしかして本当はイリーナ先生になんてこと…ダメだ勝ち目がない!どうしよう!?』
「ねえから、絶対ねえから!!よく考えてもみろよ!?あんな性格の人が、そんな風な考えを持ってて誰かにキスするか普通!!?」
前原君にキスと言われて、今朝されたのを思い出した。
『き、すとか……ぁ、あっ…し、知らない!!そんなの知らないからあ!!』
子供のように叫んでしゃがみ込み、その場で丸く蹲る。
ダメだ、よくよく考えてみれば最近結構な頻度でしてる気がする。
よくそれで平気でいれたな私!慣れ!?いやこんなのに慣れるわけないじゃない!!?
「だああややこしい!!何ならもう本人に直接聞いて見りゃいいだろ!?ビッチ先生みたいなのがいいのかどうか!」
『……』
杉野君の提案に無言ですぐさま中也さんの携帯に電話をかけて、彼が出るのを待つ。
周りの三人がゴクリと喉を鳴らすのを感じつつも、中也さんが電話を取る音が聞こえて、頭の中が急速にテンパり始める。
「蝶か、お前こんな時間にいきなりどうした?」
『ち、中也さんっ……その、中也さんって…!』
聞きにくくって恥ずかしくって、頭がこんがらがる。
中也さんは何だ何だ、とりあえず落ち着けと言うのだけれど、必死な私はもう何も考えず、ヤケになって大きな声で言ってしまったのだ。
『ち、中也さんって、エッチな本とか持ってるんですか!?そ、そういうのが好きなんですか!!?』
「ブッ!!?」
『…あれ?』