第6章 あたたかい場所
「要するに蝶ちゃんは私達のこと心配して来てくれたんだね、ありがとう〜」
倉橋ちゃんが駆け寄ってきて笑いかけてくれ、一気に頭の中に花が咲いた。
『心配とかじゃないけど…どういたしまして!でも今日は皆裏山に行ってたんだよね?何でこんな所で殺せんせーからアイスもらってるの?』
「ああー、それは「ストップですよ倉橋さん!!」」
大きな声で殺せんせーが慌て始めて、何故か私とカルマ君にもアイスが配られる。
そして殺せんせーから、他の皆には内緒ですよ、と事の発端を話された。
ここ一ヶ月の間、裏山に成人向け雑誌が大量に放棄されていて、殺せんせーは誘惑に逆らえずにそれを拾い読みしていたらしい。
雑誌が大量用意されていたのは岡島君が拾い集めていたかららしく、一ヶ月かけて殺せんせーの好みのものを研究するべく写真にも撮っていたんだとか。
そしてそこには殺せんせーを殺すための罠を仕掛けていたらしいのだけれど、先程トラップを発動させようとして失敗に終わったところだったそうだ。
携帯に撮影された写真を見れば、殺せんせーが毎日違うタイプの種類の雑誌を持って表情を変えているのがよく分かった。
『OL、オフィス…熟女、目隠し、玩具……SM、調教?』
雑誌に書かれたものをつらつらと読み上げていけばカルマ君と倉橋ちゃんに目を塞がれ、潮田君と杉野君、前原君は岡島君と殺せんせーに冷ややかな目線を送り付ける。
「蝶ちゃんに何てもの見せてるの!」
「こんなのばっかり覚えさせたら俺が中也さんにどやされんだけど?」
「白石さんには…ダメだと思うな」
「つかいい歳した大人と中学生が何してんだよ」
「流石に白石には教えちゃダメだわ」
項目ばかりを読み上げていたからあまり考えはしなかったけれど、どの雑誌にもかなり肌を露出させた女の人が載っていたのを思い出して、世間一般で言うところのエロ本だとかアダルト本だというものだと再認識した。
「エロは男のロマンなんだよ!これが嫌いな奴がいるか!?殺せんせーだって微動だにもせずピタリと立ち止まる程のもんだったんだぞ!?」
『男のロマンって……えっ、…そ、そういうのがいいのかな、男の人って』
中也さんを思い浮かべて顔を赤くすれば、全員の視線が私に集中し、視界が明るくなった。
「ち、蝶ちゃん?男の人って…」
『ち、中也さんもそうなのかなぁって…思って』