第5章 新しい仲間と新しい敵と...ⅲ
『ま、た…やり逃げ……』
「や、やっぱりされてたんだ?」
キスをとまでは聞かれなかったけれど、カルマ君から目を逸らしながらコクリと頷いた。
「あの人本当ずるい事するね…しかもまたって、何回かやられた事あるんだ?」
『う、ん…いつもならあれで引き下がってくれたのに』
「へえ、まあ俺のいる前でそんな事するなんて、よっぽど蝶ちゃんの事可愛かったんだろうねえ。その様子だと今日も中也さんと寝る感じ?」
『かわっ!!?』
何だか無性に恥ずかしくなってきて、頷くのでさえぎこちない動きになってしまう。
「そっか、良かったじゃん甘えられて。俺どこで寝ればいい?」
『中也さんの部屋で寝かせるって言ってた……と思う』
「了解、髪の毛乾かしてくるね」
私の部屋からあっさりとカルマ君が去っていってしまって、折角冷静になろうとしていたのに、先ほどの光景が蒸し返されてしまう。
二人っきりじゃないときにこんな事されたの初めてで、それだけでも恥ずかしいのに、カルマ君がよっぽど可愛かったんだろうなだなんて言うから、頭が正常に機能しなくなってしまった。
布団を頭まで被って以前にもしていたように丸くなり、落ち着け自分、落ち着け自分と何度も何度も頭に呼びかけて、叫びたい衝動を無理矢理抑えることにした。
「蝶、上がった…ぞ……____」
「え、何あれ?丸くね?」
ガチャ、と部屋のドアが開けられて、中也さんとカルマ君の声が聞こえた。
それに身体をビクつかせて反応してしまったのだが、中也さんは溜息を一つ吐いて、カルマ君に自分の部屋に行くよう促す。
「とりあえず今日はもう寝るぞ。明日もあるし…蝶の事は気にしなくていいから」
「はーい、じゃあ二人共おやすみなさーい」
軽いノリでカルマ君が隣の部屋に入っていった音が聞こえて、布団の向こうから中也さんの視線を痛いくらいに感じ始めた。
そして少ししてから、中也さんにピンポイントに頭を柔らかく掴まれて、再び肩を跳ねさせる。
『ひっ!?…あ、その、何でもなくってこれはっ!!』
「一緒に寝たいっつったのは誰だよ…お前の方のベッドはそもそもお前に合わせて買ってあるんだから、二人で寝るには広くねえんだぞ?そんなんで大丈夫かよ」
『!…中也さんと寝ます』
離れていっちゃうのがどうしても嫌で、遂に布団から顔をチラリと覗かせた。