第5章 新しい仲間と新しい敵と...ⅲ
「えっと、これどういう状況?」
突然響いたカルマ君の声に、中也さんの肩が跳ねる。
私は既に中也さん症候群を発症しているため、恥じらいや焦りなんかよりも中也さんへの独占用の方が勝っていて、驚きも何もなかったのだが。
『カルマ君上がったんだ。今日はお疲れ様』
「ち、蝶?…ああクソッ、持病かよ!?どうりで……カルマ、これは髪を乾かしてただけだ。やましい事は何もしてねえから、くれぐれも俺を変態のようにして扱うんじゃねえぞ」
遂に私がやけに積極的な理由に気づいた中也さんが、何故かカルマ君に弁解をしている。
学校でこんな事があった時のように離されるのかなとも思ったのだけれど、中也さんは私に回した腕に少しだけ力を入れている。
行動の変化は前にも感じてはいたもののやはり気になって、中也さんの方を見上げれば、中也さんの顔が少し赤みを帯びていた。
「誰も言ってないじゃんそんな事…で、早く入んないと睡眠時間なくなるよ?中也さん」
「…………蝶、離れ『もうちょっとだけ』蝶さん、お願いだ。じゃねえとお前の睡眠時間が…」
いつもならこれで引き下がってくれるのに、中也さんは私の耳元へと口を寄せて、カルマ君に聞こえないような声で一言囁いた。
「お前、そんなに離れたくねえんなら一緒に入るか?連れてってやってもいいぜ」
『へっ…?え、っ、あのっ…ひゃ!?』
とんでもない言葉が聞こえた。
思わず腕を離して身体を離そうとしたのに、中也さんの腕がそれをさせてくれず、それどころか、すっと立ち上がって私を抱え上げてしまった。
「そうすりゃお前もくっついとけるし俺も風呂に入れる、いい方法じゃねえか」
『やっ、そんなの無理!!ダメですからぁ!!』
必至の懇願に返ってきたのは、中也さんのクスリと笑う声。
どこかに歩いていったかと思えば私の部屋に入っていて、中也さんは私をベッドの上に下ろした。
「冗談だ。すぐ帰ってきてやるからちょっとだけ辛抱してろ」
いい子だから、と言うように、軽く額にキスをおとされた。
カルマ君の見てる前なのに、こんなに私は恥ずかしいのに。
『ふえっ、?えっ…!?』
すぐに中也さんは私から離れてお風呂に入っていってしまい、一人ベッドの上に座り込んでいると、カルマ君がお邪魔しますと入ってくる。
そして驚いた顔で話しかけられた。
「ち、蝶ちゃん、今のって…?」