第5章 新しい仲間と新しい敵と...ⅲ
まだうとうとする目を擦りながら三人で帰宅し、客人だからと言ったのにカルマ君には
「客人なんか関係ないの、女の子は一番優先されるんだよ」
なんて言われてしまい、結局は自分が一番最初にお風呂に入ることになってしまった。
そして上がってカルマ君と交代し、中也さんに髪の毛を乾かしてもらっている。
「蝶、お前今日は…」
中也さんが話しかけてきたので、はい、と返事をすると、少し間を開けてから中也さんの言葉が続けられる。
「…今日はどうやって寝たい?カルマはまあ俺のベッドで寝かせればいいとして、一人で寝てえならそうしてやるが」
眠気のせいでぼんやりとしか聞き取れなかったものの、今の私のこの精神状態で中也さんが傍にいないとなると、かなり厳しいものがあった。
帰ってからも甘えるって…結局すぐに寝ることになっちゃうかもだけど、もっともっと一緒にいるって決めてたんだから。
『や……中也さんと一緒にいる』
「いいのか?カルマがいるし恥ずかしいんじゃねえかと思ったんだが」
『恥ずかしいの嫌だ。でも中也さんがいないのはもっと嫌』
後ろを振り返って中也さんに腕を回して抱きつけば、中也さんは焦って私の肩を掴んだ。
「お前っ、んないきなり……髪まだ乾ききってねえだろ!」
『離れたくないの』
「わかった、わかったから!」
どうしてか今日は余裕のなさそうな中也さんの反応に、腕に更に力を入れる。
沖縄に行ったら数日間一緒にいられないんだもの、いいじゃない、いつもよりもっと甘えたって。
中也さんは諦めたのか、その体勢のまま私の髪を乾かし始める。
「お前、寝るのはいいとしてあの幅のベッドで俺と寝る気かよ」
『中也さんとギュってしてれば寝れるでしょ』
「…何で俺とそんなにくっついてたいのかねえ」
ドライヤーの風を冷風に変え、頭を撫でるようにして髪を手ぐしでとかす中也さん。
何でそんなにくっついていたいのか、何で私がこんなにも中也さんに依存しているのか、そんなものはいつも言っているとおりだ。
『中也さんだから。中也さんが、大好き』
髪を撫でる手をピクリとさせて、中也さんの腕が背中に回される。
狂おしいくらいに依存して、求めて、愛してるの。
「……そうか、そうだったな」
『ん、そうだよ』
どこまで伝わってるかは分からないけれど、大好きなのに変わりはないから。