第5章 新しい仲間と新しい敵と...ⅲ
「まあそれで中也さんの様子が変わってきてることなんて確信持ててたわけなんだけど、今日本当にびっくりしたよ。いきなり中也さん強引になってるしさ」
「ブッ!!!…ご、強引!!?なんで俺が!!」
カルマがこちらに来てからの事を思い返すも、強引に蝶を扱った記憶なんて全くなく、寧ろ自身の欲望を抑えるため必死に葛藤していた記憶が膨れ上がってきた。
「え、あれで強引じゃないって感覚だったの?蝶ちゃんが家に入ってこないからとか嬉しいことばっかり言ってくれるからって抱き寄せたり、ご飯食べてる最中に皆の前だっていうのに間接キスで食べさせようとしたりさぁ」
「……ああ!?間接キスって…!!やべえ、それであんな反応してたのか」
「え、気づいてなかったの!?」
思い返せば修学旅行の日も今日も、蝶に食べさせたいという欲求から無意識のうちにそうしていて、そんな事は微塵も考えちゃいなかった。
昨日のチョコレートケーキの時に関しては、最後クリームを食ったのは完全に意識しての事だったが。
「いや、俺は食べさせたかっただけで…そりゃこいつも恥ずかしがるわけだ」
「何で変なところでそんな鈍感なの、ますます蝶ちゃんが可哀想だね。それに結局食べちゃってたし…本当、中也さん、蝶ちゃんにどんな教育してんの?教育通り越して最早調教済ってレベルの域だよあれは」
カルマのとんでもない発言にブレーキを思いっきりかけた。
時間帯が時間帯な上に人の通りにくい道を選んでいたために誰の迷惑にもならなかったが、自分の頭の中で蝶が大変な事になっていく。
昨日のあれがそんなに効いたってのか?
嫌でも待て、蝶は元から俺に従順すぎるくれえに従っちまう奴で…俺にキスされても何されても、恥ずかしがりはするけれども嫌がるような奴ではなくて。
「調教って手前っ、んな言葉絶対こいつに教えんなよ!?口にも出すな、絶対耳に入れんじゃねえ!!」
「するわけないじゃん、何言ってんの中也さん?で、何したのさ…ああ大丈夫だよ、中也さんと蝶ちゃんがだいぶ前にキスしたって事くらいなら聞いてるから」
カルマから聞いたのはだいぶ前のもの…時期的に考えて、するようになったのは最近だから、恐らく初めてした日のものだろう。
何故聞いてるのかは分からないが、蝶の中で言える精一杯のレベルがそのあたりであるという事が分かり、少しだけ頬を緩ませた。