第5章 新しい仲間と新しい敵と...ⅲ
立原にアイスを買ってもらう約束を取り付けていたのだけれど、時間も時間だったため、中也さんに頭を撫でてもらって心地よくなると共に眠くなっていた。
だから立原の方からアイスはいらねえのかと聞かれたのだけれど、私の様子を見た中也さんが、また今度にしてやってくれと代わりに返事をして、立原と別れる。
そして中也さんの車に乗った頃には、そろそろ私の意識も限界になっていて、うとうとと一瞬眠ってハッとしてといった行動を繰り返していた。
「蝶、お前眠いんなら寝てていいんだぞ?着いたら起こしてやっから」
「もう半分寝てるし……ていうか日付変わるくらいまでやってたんだ」
『んん…眠くない』
今日は久しぶりに思いっきり銃を使って、それも立原と一緒にいっぱい銃に触れて、カルマ君を拠点に呼んで皆でご飯を食べて、本当に楽しかった。
カルマ君が来てくれたってだけでもなんだか心が高鳴っていたのに、広津さんや立原までタイミングよく来て一緒にいてくれたのだ。
こんなこと滅多にないしなんて考えたからか本能のままに動いていたからか、楽しすぎてはしゃぎすぎた。
楽しかった時間の余韻に浸るように、そして隣に座る中也さんをもっと感じていたくて、なんとか眠気に対抗しているといった状態なのである。
「嘘つけ、お前今日はいつもよりはしゃいでたんだぞ…しかもこんな時間まで。強がってねえで寝てろって」
『……今日ね、楽しかったの。銃使って広津さんと立原と一緒にいて、中也さんもいて………カルマ君までいてくれたの』
赤信号で止まり、中也さんが私の頭を軽くぽんぽんとする。
それが更に眠気を誘発してきて、流石にそろそろ目が開けていられなくなってきた。
車…それも中也さんは私が乗ってる時は穏やかな運転をするから、すっごい眠たくなるのに。
中也さんの手が余計に私を心地よくするから、もう姿勢を保っていることも出来なかった。
背もたれにもたれたんだと気がついた頃には意識が途切れかけていて、楽しい気持ちのまま眠りにつく。
「……寝たな。カルマ、手前も寝てなくていいのか?」
「何中也さん、俺にまで世話焼きになっちゃった?」
「何で俺が手前なんぞに…やけに嬉しそうだな、どうした」
「蝶ちゃんが俺の名前も挙げてくれてたから、嬉しかっただけ」
車のミラー越しに見える少年の顔は、穏やかなものだった。
「…そうか」