第5章 新しい仲間と新しい敵と...ⅲ
食事を終えてから数時間訓練室にこもって各々訓練して、私と立原は射撃を終えて体術組の三人の元へと合流する。
『立原はテンションに応じて弾の当たり具合がブレるね、精進しなきゃ単細胞』
「誰が単細胞だ、誰が!?」
『それじゃあ本体が絆創膏』
「お前俺の事絆創膏としか思ってねえだろそれ」
立原をからかいながら体術組の様子を見ていれば、中也さんが少し軽めの攻撃を繰り出していて、カルマ君は殆どをかわしてたまに避けられないものがあると捌いていた。
『ほら、カルマ君くらいの集中力見習おうよ。折角腕はいいのに勿体無いじゃない』
「……え?」
何よ、と聞き返せば何でもねえ!と顔を背けられた。
そしてその立原の声でこちらに気が付いた広津さんが、状況を教えてくれる。
「彼は元々動体視力や身体の扱いに優れていたようで、すぐに幹部は新しい防御術を教えられていたよ。今日は軽く身体に動きを覚えさせていたところだ」
『ふうん…まあ訓練初日に中也さんにこのくらいのレベルの攻撃を出してもらえてるだなんて、並の大人よりは断然凄いね、流石』
一般人の中学生が出来るような芸当ではない。
烏間先生のテクニックを目で見て盗んだのだろう、それもかなり練習をしていたのか、予想よりも動きがしっかりしている。
「俺は体術の方は鍛えてもらってねえんだが、中原幹部が訓練中に本気で攻撃を繰り出すことなんかあんのか?」
立原のふとした質問に二つ返事でうん、と返す。
『私とやってた時なんかは異能もたまに使ってたよ。こっちはテレポートのハンデ付きだったけど、お陰様で早い攻撃にもここに来る前より慣れたしね』
「ってお前かよ!?しかも異能使った幹部と本気でやり合ってるとか…想像しただけで身震いすんぜ。どっちが勝つのか正直想像つかねえ」
そんなの決まってるじゃない、中也さんだよ。
当然のように言い返せば、立原は目を見開いてこちらを見る。
『体術で中也さんになんか敵いっこないから。まだ決着着いたことはないけど、私がちょっとでも気抜いたらすぐに捕まって負けちゃうよ。それに今の中也さんになら、テレポート使っても攻撃避けきれる自信ない』
あくまでも一対一で体術を使ってぶつかり合えばの話だが。
「それで銃の方をあんなにねえ……体術一つとってもすげえし、本当お前、中原幹部の事ずっと好きなんだな」