第5章 新しい仲間と新しい敵と...ⅲ
『もうね、本当にダメなんですよ立原は!!もー…首領、これは?』
「う、うん……すっごくいいと思うよ」
『よし、じゃあ次こっち』
首領の元に逃げて来てから、訓練室を借りるついでと口実をつけて首領からある許可をもらいに来た。
そしてその許可はすぐにもらえたため、今はその準備をしながら首領に愚痴をこぼしている。
「相変わらず上手いねえ…で、蝶ちゃん。その件について中原君には」
『言えるわけがないでしょう!!?』
「そ、そうだよねえ!ごめんごめん僕が間違ってたよ、馬鹿な質問をするねえ全く!ははは!!」
半ばヤケになって怒りをぶつけるように言うと、首領はすぐに私の意見に賛同する。
怒ったのは私が悪いけど、首領ってたまにこうやってデリカシーの無いことを聞くから…まあ気になるのは仕方ない事なのかもだけど。
『乙女の敵よ、あんな人!中也さんならこんな事……あってもまあ許せるけど』
中原君なら許せるんだ…とガクッと弱々しく突っ込まれた。
「ところで蝶ちゃん、まだするの?もう十分なんじゃないのかい?」
『あともうちょっと!首領はお先どうぞ、そろそろ私訓練室戻って呼びますし、お願いと愚痴聞いてもらってありがとうございました!』
「そ、そうかいそうかい、君が満足してくれたんならいいんだうん!私も、ありがとうね。久しぶりにこんな風にしてもらえて嬉しかったよ、赤羽君にもよろしくね」
『!はい、本当にありがとうございます!!』
頭を下げてから首領がこの部屋から出て行くのを見送り、訓練室への扉を作り、重たい足を動かして中に入る。
『…………戻りました…?って!何!?何で立原そんなに顔色悪いの!?』
そこには顔を青ざめている立原がいて、何かを悟ったかのように私を見て合掌していた。
余りにも理解が追いつかなさ過ぎて中也さんの方に駆け寄って事情を聞く。
しかし彼は特にこれといって何も教えてはくれず、私の肩に両手を置いてガシッと掴んで、ただ一言言っただけだった。
「………男の話だ」
『えっ…と?と、とりあえず四人共着いてきて?そろそろいいぐらいの時間だからさ』
中也さんに肩を掴まれたまま扉を先程いた場所に繋がるよう作り、それを開けば、皆中を見て驚きの声をあげてくれた。
「え、蝶ちゃんこれ」
「全員分…」
「これは…」
『……夜ご飯、食べてから続きしましょ?』