第5章 新しい仲間と新しい敵と...ⅲ
結局心臓がもたなくなって中也さんの腕の中からまた立原の元へとテレポートした。
「なっ、蝶!?」
「!…お前、よくも……ぐっ、」
立原の元に戻れば頭を強打したのか、涙目になって睨みつけられる…が、全く怖くはない。
そんな事よりも立原に伝えたい事があった。
『……立原のとこって落ち着くね。あそこ心臓に悪い』
「そ、そうか!?それはよかっ……ひっ!!?」
立原が突如怯えたようにビクついたので目線をたどれば、どうどう、と広津さんとカルマ君に抑えられながらも拳を震わせている中也さんがいた。
そんな中也さんと目が合って、恥ずかしくなってパッと逸らし、立原の手を取って射撃スペースへと駆けていく。
『行こっ、立原』
「ちょ、お前っ!……勘弁してくれええ!こういう事すっから後が怖えんだよおお!!!」
中也さんの方を振り返る事なんて出来なくて、誰もいない方を向いて必死にこの顔を見られないようにと口をつぐんだ。
…他の人の……カルマ君のいるようなところで、あんなに堂々と抱きしめられるだなんて。
『ほら、とりあえずウォーミングアップで早打ち対決!私より標的を撃ち落とせた数が少なかったら今日走ってアイス買ってくる事!』
「無茶振りだなおい!?お前勝てねえの分かってて言ってんだろ!?」
『立原ならやれるかもって、思ってるよ。私』
いい顔でそれっぽく言ってのけた。
すると心に響いたのか、感動したと言わんばかりに銃を構えて、気合を入れる立原。
よく分かったよ立原君、君はとっても純粋な子だ。
「よし、準備はいいぜ!やってやる!!」
三分後、立原は勿論、地面に両手をついてへたり込んでいた。
『やった、アイスゲット♪』
「くそっ、なんで受けたんだ俺!絶対こうなるって分かってたのに!!」
涙目で沈んでいる立原の前にしゃがみ込んで頭を撫でてあげれば、こちらを見上げてきた。
『まあまあ、明日デザートお裾分けしてあげるから機嫌直してよ。ね?』
「ち、蝶……お前…………」
立原の顔がみるみるブワッと赤くなって、何故か私の方を指差して震え始める。
『ん?』
「…………スカート、ちゃんと意識しといた方がいいぞ」
ぱっと顔を逸らされ、ようやく立原の言葉の意味を理解した。
すぐさまスカートを押さえて崩れるように座り込み、とりあえず立原を思いっきりビンタした。