第5章 新しい仲間と新しい敵と...ⅲ
『立原ー!来ないのー??』
少し大きい声を出せば四人共がこちらを向いたので、私も話に混ざろうとそちらに駆け寄っていった。
『何の話??』
「ああ!?お、男の話だ!!」
何それ、変なの、とサラリと流すと立原は何故かガクッと項垂れる。
他の三人は立原に憐れみの目線を向けていた。
「つ、つうかそんな事よりこいつ誰なんだよ!?名前も知らねえんだが!!」
すぐさま復活した立原がカルマ君を指差して話題を変える。
「あ、そっか。お兄さんの部屋通った時寝てたもんね」
カルマ君は磯貝君と前原君と一緒に連れてきた時、立原が寝ているのを見ていたから、記憶には残っていた様子。
カルマ君がら自分の名前を立原に名乗れば、立原はピンときたのか大人しくなった。
「そうか、お前が赤羽カルマか…蝶から何回か聞いた事がある。俺は立原道造だ……んで、俺の部屋通った時って、蝶だな犯人は!?お前だよな!?」
えへ、と笑えば拳を震わせて耐えている立原に、再び憐れみの目線が送られていた。
広津さんも自己紹介をして、どうやらそっちは穏やかにお互いの関係を築き始めているようだ。
立原と広津さんにカルマ君がここに来ている理由を説明すれば、中坊のくせしていい心掛けじゃねえかと何故か立原が偉そうにする。
何だかそれが面白くなかったので、立原のファージャケットのフードを掴んでさっさと射撃スペースの方へと引きずっていった。
「ち、ちち蝶!?なんでおまっ……首!首締まるってこれ!!」
『子供相手に偉そうにしないの、大人気ない。広津さんは体術の方だろうし、早く始めるよー』
「お前今度会ったら覚えてろよ…」
『何?私これから数日間毎日来るけど、立原来ないの?』
ピタリと足を止めて小首を傾げると、立原が目を見開いて私を見た。
「……毎日?…………く、来るに決まってんだろ!!」
『だよね、折角立原もいるんならやっぱり会いたいし』
「!蝶、欲しいもんあればいつでも言え、甘いもんくれえならいつだって…なんなら今日にでも「立原ああ!!!」は、はい!!?」
立原がいつぞやの中也さんのような返答をすれば、中也さんの物凄い声が響き渡って、立原だけでなくその場の全員がビクついた。
「………悪いがうちの蝶は日が沈んでからは基本貸し出し不可能だ、あと甘やかし権限は俺が持ってる。俺が同伴する場合は良しとしよう」