第5章 新しい仲間と新しい敵と...ⅲ
訓練室に入室し、広い広いその空間に懐かしさを感じる。
『わぁ…全然変わってない』
「ああ、蝶は久しぶりだったな。何なら今日は俺が見ておくから、射撃でもしてくるか?今日は人もいねえみてえだし」
中也さんの提案に心踊って、ついつい甘えて首を縦に勢いよく振ってしまった。
「仕様は変わってねえはずだし弾も前と同じところにあるだろ。好きに使え」
『弾も使っていいんですか!?やった!』
実弾の使用数を減らすため、私は自分の能力で何度も同じ弾を使うという事がほとんどなので、のびのびと実弾を使って射撃をする事なんて出来ていなかった。
「あんな女の子が実銃使い放題であの喜びよう…世界観も次元も違うなあやっぱり」
カルマ君の呟きにいいでしょと言わんばかりの笑顔を向ければ、最初苦笑いだった彼も微笑み返してくれた。
「よし、んじゃ防御術だったな。蝶の射撃はあそこですっからとりあえず向こうに行くぞ、あいつが心の底から楽しんで射撃してる最中に近寄んのは怖ぇから」
えへへ、と顔を緩めに緩めて実弾の沢山入った入れ物を運んでいれば、中也さんとカルマ君が少し青い顔をしながら離れていった。
しかし二人はその場で足を止め、私も手を止める。
訓練室の扉が、音を立てて開き、外から人が入って来たからだ。
「あー…今日は人が少ねぇ……な…………っ!!?」
「おや…これは珍しい」
入って来た人物を見て、目を見開いて次第に嬉々とした表情になっていくのが自分でも分かった。
入口に立っている二人のうち片方の人物に突進して、デコピンをかます。
『たっちはらああ!!!』
「いっ!!?…〜〜〜ってえ!!!」
奥の方では中也さんが肩を震わせていて、何故かカルマ君が宥めているような声が聞こえる。
「ち、蝶っ!?蝶が、えっ」
「はいはい落ち着いて中也さん、大人気ないよ」
私の盛大なデコピンを受けた立原は床に転がって悶え苦しんでいる。
そしてもう一人の人物である広津さんは私の前で腰を屈めてにこりと微笑んでくれた。
「蝶ちゃんがここに来るだなんて久しいね、懐かしいよ。突然どうしたんだい?」
『広津さん!本当はちょっと別の用で使う予定だったんですけど、久しぶりに射撃の訓練をさせてもらえる事になったんですよ!』
私が目を輝かせながら言えば、広津さんからとある提案がされ、それに全員が驚く事となる。