第5章 新しい仲間と新しい敵と...ⅲ
「マフィアっていっても、やっぱポートマフィアレベルにもなれば凄い規模の拠点になるんだね?もっとこじんまりとした感じかと思ってたけど」
今日はまずカルマ君の実力を見ようという事で、ポートマフィア拠点の訓練場へと向かう事になった。
私の能力を使って行ってもよかったのだけれど、万一それで私やカルマ君が殺されかけても面倒なので、拠点の目の前に扉を作って三人で中に入る事に。
「うちは結構他府県でも有名らしいな。カルマもだが、悠馬も陽人も知ってやがったし」
「それなら、それこそ蝶ちゃんが今いる武装探偵社だって有名だよ。異能に憧れてる奴なんかいっぱいいるしね」
カルマ君が教えてくれた、一般人から見た異能力者に対する思いというものに、ついつい聞き入る。
好奇心から能力を持ってみたいと思う子や、武装探偵社のような組織に入りたいだなんて言う子もうちのクラスにもいたらしく、想像もしていなかった為に驚きを隠せなかった。
『そんなに有名なの、武装探偵社って…それに異能力も』
数年間監禁されてて外からの情報は全く入ってきていなかったせいか、私の予想を遥かに超えるレベルで異能力者や武装探偵社、ポートマフィアというものは皆が知っている常識らしかった。
そしてその異能力者が多く集まっていて、異能力者による主要組織がある横浜もよく他府県でニュースに取り上げられているらしい。
『……異能力に憧れる人なんて、いるんだ』
使う側としては、余程何か企みを持っている人物でもない限り、一度は思う事があるはずだ。
異能力とは別にしても能力を持っている私や、それこそ敦さんや鏡花ちゃんなんかが代表的だろうか。
人に見せたくない、恐れられたくない。
他の探偵社員の皆や中也さんでだって、異能持ちという事で少し思うところがあった人も少なからずいる。
私に関してはそもそも異能なんかじゃなくて体質的なものであるから、同じだとは言えないけれど、特に一般の人に打ち明けるのを躊躇ってしまう部分がある。
「…手続きが済んだ。首領に許可も取ってあるから、これでこの数日間は拠点内でも安全に動けるだろ」
「はーい」
カルマ君は両手を頭の後ろで組んで、中也さんの少し前を歩き始めた。
クラスで異能に憧れを持つ子が多いという事実を知って呆然としていれば、中也さんに軽く頭を撫でられた。
「行くぞ」
『は、はい…』