第5章 新しい仲間と新しい敵と...ⅲ
『だから、使えるものは使えるだけ使えばいい。あの先生を殺すのに一筋縄じゃいかないなら、全ての作戦が先生を弱らせるためのものになる』
烏間先生と何人かの子達は、ようやく私の言う事を理解してきたらしい。
『まあ、だからそれを念頭に置いて、まずは作戦として組み立てるよりも徹底的に弱体化させる案を挙げていけばいいと思うよ。折角全員で実行するんだから、南の島なんていう環境でなきゃ出来ないことだって考えてみればいい』
「へえ…蝶ちゃん、今日は何だか偉く優しいね?そんなアドバイスぽんぽん出して。もしかしていい事あった?」
カルマ君にからかい半分で聞かれたため、横浜での事を思い出す。
『………いい事、なのかな。内緒』
ちょっと照れてしまったけど、ニコリと笑い返せば、カルマ君はふぅんと言いながら嬉しそうな顔をした。
「それにしても暗殺の作戦立案にはそんな考え方もあるものなんだな…」
関心したように烏間先生が言う。
『今回の場合は相手が相手ですからね。一般人や普通の殺し屋相手なんかになれば、勿論確実に一発で仕留めるところですが』
事情を知っている四人は苦笑いを浮かべている。
『それで、案がいっぱい集まったところで、潮田君の殺せんせー弱点メモと照らし合わせながら組み立てていくといいと思いますよ』
「え、僕の?」
キョトンとする潮田君の方を向いて頷く。
『とりあえずそれだけ言っておくから、また何かあったら聞きに来て。技術面は訓練の時間に…ロヴロさんも夏休み中に来て下さるんなら、あの人にも色々と聞けばいいと思うよ』
黒板に箇条書きにされた案にまとめて赤色のチョークで大きな丸をつけて、自分の席に戻って着席する。
「で、では白石さんのアドバイスを念頭に置いて、どんどん考えていこう。明日からの訓練の日程はしおりの一番後ろに挟んであるから、皆の夏休みを使わせてもらってすまないがよろしく頼む」
烏間先生が締めて、皆解散することになった。
皆帰宅した後の教室にカルマ君と烏間先生だけが残り、そこで烏間先生にもう一度お礼を言われる。
「本当にありがとう、心から協力感謝する」
『いえいえ。まあ問題は殺せんせーの月一の脱皮と…他にまだ奥の手があるかもしれないからそれだけですかね』
烏間先生は、どこまでの事を見越しているんだかと、また苦笑いを浮かべていた。