第5章 新しい仲間と新しい敵と...ⅲ
皆が考えていたという南の島での暗殺案がいくつか出され、それらを使って暗殺が出来ないかという話になった。
しかし、暗殺の作戦の詳しい部分を考える前に、烏間先生が私の方を見る。
「ここで何だが、白石さんに一つ頼みがある」
『私に?』
烏間先生だけでなく、クラスの皆が私に面と向かって、座った状態だったけれど頭を下げる。
『え、ええ!?ちょっと皆何して…烏間先生まで!頭下げないでくださいよ!』
突然の事態に慌てて言えば、皆顔を上げてくれた。
カルマ君や寺坂君までそんな事をしてくるものだから、私だって頭が混乱している。
「暗殺計画を立てるにしても、個々のスキルを磨くにしても、白石さんはちょっとそれらが得意なだけの人ではない。言ってしまえばプロであると俺は思っている…皆にもそう説明させてもらった」
『!…私はそんなに褒められた人間じゃありません。確かに専門分野といえばそうなりますけど、烏間先生にプロだなんて言ってもらえるほどじゃ……』
「いいや、そんなことは無い。現に皆、俺と同じ意見を持っている…だからこそ、頼みたい。皆の暗殺技術の向上の為に、白石さんには教える側に回ってもらいたい。そして今回の大掛かりな暗殺計画に、色々と助言をくれるととても助かる」
私が、教える側に回る…?
私なんかにどうしてそんな事を?
『勿論意見は出しますけど、そんな教える側に回るだなんて…』
「皆と相談して、そうしてもらいたいと思ったんだ。白石さんが大変な時にすまないとは思っているが、負担にならない範囲で構わない」
『……体術とナイフと銃は訓練で。爆弾や薬など、知識が必要なものがあれば、その時に相談しに来てください。私は自分一人での暗殺はしませんが、誰かが力を必要としてくれるんなら、出来る限り尽力します』
私一人で暗殺なんてしてしまえば、皆が噂によく聞く、“前のE組”に戻ってしまうだろうから。
『ただし、それぞれのレベルにあまりにも見合わないような事を頼まれたとしたら、それは危ないから絶対にさせません。後、身体を壊してしまえば元も子もないので、身体を酷使するような人がいれば気絶させてでもとめますからね』
目を細めて言えば、その場の全員が息を呑む音が聞こえた。
『じゃあ夏休み中、ビシバシ鍛えるから覚悟しててね皆』
言い終わってから、最後にニコリと微笑んだ。