第5章 新しい仲間と新しい敵と...ⅲ
『面接と試験って……え、ええ!?』
それはつまり、中也さんと万が一進展するようなことでもあれば連れてこいっていう事ですか!?
社長からそんな事を言われるだなんて…
「おお、試験はまだとはいえ、形的には探偵社公認になりましたね、あの素敵帽子さん!」
「素敵帽子っ……プッ」
「いいねえ素敵帽子!……まあうちの蝶ちゃんと何かあろうと、蝶ちゃんが喜ぶならそれでいいが」
三人が目配せして、私に素晴らしい笑顔を向ける。
「…進展すれば連れてこい」
社長の声に続けて、三人は声を揃えて言った。
「「「事情聴取だ」」」
『は、はい…?』
何故か、どこかで中也さんの危機を感じ取った。
ごめんね中也さん、探偵社公認というより、寧ろ目の敵にされたっぽいかも。
椚ヶ丘に戻って教室に入れば、机の上にはやはり分厚い分厚い…最早アコーディオンのような大きさのしおりが置かれていた。
つい先程ホームルームが終わったばかりだったようで、皆が私に気づいて注目する。
「白石さん!お怪我は!?」
殺せんせーがマッハで瞬間移動し、私の目の前に現れる。
『怪我は…何とか大丈夫です、ちょっと危なかったですけど』
敵が中也さんだったなんて驚きだったけれど、それも首領の考えのうちだったのかもしれない。
私さえ入れば、中也さんは恐らく攻撃なんてしないから。
「拠点が襲撃されたと聞きましたが…」
殺せんせーの言葉でクラスに動揺が走る。
『ああ、それこそ大丈夫でしたよ。目的は襲撃じゃなくってまた別の用だったみたいなので!後は国木田さん達に任せてきましたから』
任せてきたと言えば、殺せんせー含める全員がホッとした様子だった。
「白石さんが任せてきたというのなら安心ですね。それじゃあ白石さんも戻ってこられましたし、先生そろそろ旅行に行ってきます」
『え、まさか私の事待ってたんですか!?すみません!』
「いえいえ、なにやら烏間先生とクラスの皆とで暗殺の為の相談をするらしいので、白石さんが来るまで待つと皆がいっていたんですよ」
では、と言って返事も聞かずに、殺せんせーはマッハでどこかに飛んでいってしまった。
そして壁にもたれかかっていた烏間先生が教卓に立ち、口を開く。
「それでは、南の島での暗殺を目標に、夏休み中の暗殺訓練を考える!!」
場の空気が真剣なものに変わった