第5章 新しい仲間と新しい敵と...ⅲ
『…中也さんとじゃなきゃしない』
「分かってるっつの。そこら辺は心配してねえから安心しろ」
うりうりと頭を撫で回される。
『…………ねえ、事務員さんたち、本当に助かる?大丈夫?』
「大丈夫だ、危なくはなるだろうが、ちゃんと首領とは綿密な計画を練ってある。まだ探偵社からは直接的な被害は被ってねえからな」
『餌にするんなら私を使えばいいのに』
ぽろりと出てきた言葉だった。
しかしそれにピクリと反応して、中也さんの手が止まる。
「何度も言うが、俺らが…俺が、お前にそんな事をさせられるわけがねえだろ。もし首領が、まあ無いだろうがお前を餌にするような計画を立てようとするんなら、俺は組織の意向を裏切ってでもお前の元に助けに行ってやる」
ギュウッと強く抱き締められる。
組織への忠誠心の高い中也さんがここまで言うだなんて、相当な覚悟があるという事だ。
『へへ、嬉しいなぁ…中也さんは絶対私の味方してくれるんだね』
「当たり前だろ、危ない事ばっか考えてたらまあ怒りはするが…お前が俺の味方をしてくれっからな」
ぽんぽん、と柔らかく頭に手を置かれ、中也さんの発言に疑問を持った。
『?だって中也さんだもん』
「ああ、それと同じだよ。お前さっきも言ってくれてたもんな、お前の一番は俺なんだって…まあ俺はお前のことを嫌いにもならねえし見放しもしねえが」
『……ん、私の一番は生涯中也さんって決まってるの』
覚えていてくれたのか、私の発言を。
この人は、私が思うのと同じくらいに、思ってくれているというのか。
「俺も、他の誰でもない蝶にそう思ってもらえてて嬉しんだよ。…だからこそ、今回の戦争でお前の事は、なるべく組合には近づけさせねえ」
『出たよ過保護モード…ていうか私、あと数日で南の島に行くことになってるのに大丈夫なの中也さん』
「…………はっ?南の島!?」
今日決まった事だから今言った。
過保護センサーが働きすぎてる中也さんに事細かに説明すれば、中也さんはやはりこの戦争が落ち着くまでは行けないということで嘆いている。
「ま、まあ敵の拠点は沈めたし、島まで行くんなら寧ろ少し安心かもな……水着を着る時は絶対に上着を羽織れよ、いいな。買ってくるから絶対に持っていけよ!!」
『な、何でそこそんなに力説してるの』
「お前の水着姿は俺以外に見せなくていいんだよ!!」