第5章 新しい仲間と新しい敵と...ⅲ
「ほぉら、何とも思わないんだろう?こんな風にしても…!」
『やっ!!?あ、あっ…やめっ、離して下さいっ!!』
何故か与謝野先生の方がムキになったように、脇から下をツツ、となぞってスカートに手をかけられる。
そこはダメだ、そこを下ろされたら、私の何かが崩れてしまう。
「おっと!」
しかし力じゃ賢治さんには勝てないからと思ってしゃがもうとすれば、賢治さんは私の脇を持って私が地面に足をつけなくなるくらいにまで持ち上げる。
『!!…あ、そこ、ダメっ!!』
自由になった手で賢治さんの腕を剥がそうとするもののビクともしない。
それどころか脇に刺激が走って、腕にさえうまく力が入れられない。
与謝野先生がスカートに再び手をかけてホックを外そうとした時、何とか思考を保って能力を使い、賢治さんと与謝野先生の腕の中から脱出した。
「あっ」
「あ…」
『〜〜〜っ、やだっ、もう皆帰って!!』
三人から遠い所で蹲り、精一杯の声を出した。
はいはい、それではー、と、二人はあっさりと拠点に戻っていく。
しかし中也さんはそこから動こうとはしない。
「……!ち、蝶『こっち来ないで!!』またこのパターンかよ!?」
『こっち、来ないで…っ……何で中也さん、見てるだけだったの…私の事、やっぱり嫌いになっちゃったの…?大事じゃなくなっちゃった……?』
与謝野先生も賢治さんも、ああすれば普通は止めに入るであろうと見越してあんな事をしたのだろう。
それ位、私にだって分かる。
「んなわけねえだろ!ただ探偵社の奴らがいたからっ」
『…じゃあ何で見てたの、私見ないでって言った……恥ずかしかったのっ…!』
「…………悪い、完全にお前に見惚れてた」
私の肩から外套でフワリと包み込まれて、触れられた腕がビクッと跳ねる。
『み、惚れ!?』
「仕方ねえだろ、あいつらは害無さそうだったし…お前のああいう顔、俺は好きなんだよ。やめさせたいどころか、俺にとっちゃあ大好物だ」
『何言ってんですか、そんなの…っ、私必死で!!』
「すぐに手が出そうになったが…あの二人に手出したらお前、また泣いちまうだろ?俺だって分からなかったんだよどうすればいいか」
後ろから抱き締められて、中也さんの思ってる事が全部聞けた。
そうか、中也さんは不器用だから。
私との約束、守ってくれようと考えてくれてたんだ…