第5章 新しい仲間と新しい敵と...ⅲ
事務員…ナオミさんたちが、危ない?
『……!中也さん、それ、どういう事!?助けにっ…!!』
正気に戻って、急いで現場に駆けつけようと動き出そうとすれば、肩に腕を回され、止められた。
「ちゃんと、探偵社の誰かが助けに行けば十分に間に合うよう仕組んである。それに組合は探偵社が来ることを知らねえ…だから、組合に一泡吹かせてやりゃあいい」
『だ、だからっ、それなら私が!!』
「お前は絶対に行くんじゃねえ!!!」
中也さんがまた声を荒らげたため、何も言えなくなってしまった。
「……国木田に繋げ」
社長の声が聞こえて、すぐに中也さんが監視カメラを壊してしまう。
「んで、あんた、うちの蝶に何でずっとくっついてんだい。そんなに怒鳴って怖がらせてんじゃないよ、とっとと離れな」
「ポートマフィアの幹部さんが、何で白石さんと面識あるんですかー?」
臨戦態勢に入る二人が中也さんに敵意を再び向け始めたため、今度は中也さんの前に立った。
怒られたばっかりで、勿論怖くないなんて言えば嘘になる。
「!…蝶、あんた何で……」
だけど、たとえ探偵社の仲間にだって、中也さんに手を出されるのは嫌だった。
中也さんの事を、私の事をまだ知らないから仕方ないのだけど、私の中での一番はいつだって…怒られたって、嫌われたって、見放されたって、生涯中也さんだって決まっている。
「お前…何で俺を……」
『ごめんなさい、与謝野先生、賢治さん……この人に、攻撃しないで。中也さんに、手、出さないで』
怖い。
中也さんに怒られたのが、与謝野先生と賢治さんに逆らって敵組織の幹部の味方につくのが。
『怒られても、いいんです…例え嫌われても、見放されても、私の一番はこの人なんです。ごめんなさいっ、私、中也さんの敵になれません…中也さんに手を出されたく、ありません……!!』
言い切った。
半年間とはいえ、私にとても良くしてくれた二人の前で、探偵社を裏切るような発言を…言ってしまった。
「……ほう、一番ねえ?つまりこの男がなのかい?あんたが言ってたのは」
与謝野先生から出てきた言葉は、拍子抜けするほどに意外なものだった。
ナオミさんと与謝野先生には、大切で大好きな愛おしい人がいると、話したことがあったから。
『へ…?……はい』
「そうかい。なら喧嘩はやめだ」
「やめるんですか?了解です!」