第5章 新しい仲間と新しい敵と...ⅲ
「ほら、食え。昼も食ってねえんだろお前、いっぱい食っとけ」
『や、もう限界…むぐっ、』
夜ご飯を食べ…させられながら、悲鳴をあげる胃に耐える。
中也さんから食べさせられているというこの状況において、最早羞恥なんかよりもお腹がいっぱいだという事しか考える事が出来ない。
こんな事になったのは中也さんが帰宅してから。
夜ご飯をすぐに用意して並べれば、私の方には何も用意されていないのを見て、私の分は無いのかと聞かれた。
だから、中也さんが相手だからか、馬鹿正直なことにもお昼を食べ逃したからお弁当を食べるのだとバラしてしまったのだ。
それでお弁当を食べている最中なのにも関わらず、中也さんの為に作った夜ご飯を先程から食べさせられているのである。
『い、いや本当っ、もう……てか中也さんの為に作ったの!中也さんが食べてよ!!』
「あ?俺はこっちも食うんだよ…飯のメニューくらい一緒でもいいだろ、あとお前は一食抜いてんだ、吐いてでも食え、つか寧ろ吐くまで食え」
『嬉しい事言われてるはずなのに恐ろし…ん、んん!!』
箸にご飯をつまんでこちらに見せる中也さんに、全力で首を横に振る。
てか正気かこの人、まさか本気で吐くまで食べさせるつもりなんてないよね!?
「…………俺が食べさせるのは、いけなかったか」
悪びれるわけでもなく淡々と言われた。
だけど、それだけでも、そんな言い方をされると私の身体は無理にでも動いてしまう。
中也さんの為にと、行動してしまう。
『……ダメじゃない』
「!よく食った、偉いぞ」
私が食べるとは思っていなかったのか、頭をよしよしと撫でて素晴らしい笑顔を浮かべる中也さん。
その笑顔だけでもお腹いっぱいになりますよ私は。
もう別腹も満たされたなこれ。
『ん、お腹いっぱい』
「そうか…じゃあその、お前が今日食べれなかった分のデザートは俺のもんだなは
ニヤける中也さんに、最初からそれが狙いだったのかと気が付く。
『え、ダメ!!それもう美味しさ落ちてるから!中也さんになんて食べさせられな』
言い切る前に、中也さんが一口食べてしまった。
今日はチョコレートケーキ。
中也さんお昼も食べたはずなのに…
「んだよ、元が美味すぎるからか味が落ちたとか全然感じねえぞ。お前が作ったもんは俺が食うって決まってんだよ」
『出たよ親バカ!やっぱバカ!!』