第5章 新しい仲間と新しい敵と...ⅲ
屋根の上から戻るなり、すぐに職員室に入室してお弁当の状況を確認する。
『た、ただいま戻りました!…愛妻弁当ちゃん……!!!』
お弁当の方は大丈夫だったけれど、デザートの方は保存状態は大丈夫だったものの、風味や艶が消えていた。
「お、お疲れ様…どうしたんだ白石さん?」
「蝶、あんたなんで床に崩れ落ちてんのよ?」
『私の愛するデザートがあぁ……帰ってからこっそり食べよ』
「デザートが真夏のこんな時間帯になってまでまだ保冷されてんのがそもそも凄いけど…今日お昼も食べてなかったのね」
私の落ち込みように二人して驚いている。
『この調子じゃあ私は夜ご飯お弁当かなぁ、中也さんの分だけ作ろ、そうしよ』
「夜ご飯も白石さんが作られているんですか?」
殺せんせーが質問してくる。
私の普段の生活の様子が知りたいのだろうか。
相手が中也さんだからか、私に関しては個人情報を一切探ろうとしてこないしなこの人…人……?
『あ、はい。たまに中也さんですけど基本私が…毎日お仕事で疲れてるのにお皿洗いは一緒にやってくれて、私がベッドにちゃんと入るまで待って一緒に寝てくれるんですっ』
中也さんの事が頭に思い浮かんで、惚気話のようにスラスラと勢いよく中也さんの事が口から出る。
「中原さんは、本当に白石さんに優しいのですね」
『!…中也さんは優しい人だから。口調もお仕事の内容も荒いけど、本当は優しいいい人なの』
惚気話が止まらない。
そして緩んだ顔も引き締まらない。
「惚気けるのもいいけど、そろそろ餓鬼共も下校し終わってるわよ?その様子じゃ探偵社の方は大丈夫だったようだけど、あの男の為の夜ご飯作るのが遅くなるんじゃないの」
イリーナ先生の言葉で冷静になって、忙しなく慌て始める。
『そ、そそそうでした!!では先生方、また!!』
扉を作ったところで、殺せんせーに呼び止められる。
「白石さん…明日は、何事も無ければこちらにいてください。先生、夏休みのしおりを渡しますし、テストの返却も終業式もありますから」
『!…それは行った方が良さそうですね、折角殺せんせーが作ってくれたしおりもあるんでしょうし。出来るだけいれるように…出来るかな、まあ何かあってもすぐ戻れるようにします!では!』
一礼して返事をもらって、帰宅した。
『…そういえば今日トウェインさん来なかったのかな』