第5章 新しい仲間と新しい敵と...ⅲ
『信用してなかったんです?まだ他の人には言ってませんけど、私も一応幹部なんてものをやってたりもしたんですよ、これでも』
平然と答える私に幹部!!?と声を上ずらせる中島さん。
あれ、そんなに私そう見えないのかな。
『そうですよ。じゃないと紅葉さん…五大幹部の人とさっきみたいに接する事なんか出来ませんって』
「ま、まあ蝶ちゃん強いしね…あ、あはは……」
『なんですかその微妙な納得の仕方ー…』
頬を膨らませて納得のいかないという顔をすれば、中島さんは膝を曲げて私と視線を合わせる。
「なんていうか、こんな年であんなに強いのに納得したんだよ。太宰さんみたいに頭もいいし、場慣れしてて本当にいつも頼りになるし、すごいなあって」
『…そんな事ないですから。……あ、あのっ…』
私が意を決したように話しかければ、ん?と笑顔でこちらに聞き返してくれる。
目線が合ってて顔も近いし、後輩といっても年上の男の人で、初めて中島さんに緊張してしまった。
そして自分でも驚くくらいに褒められて、更に照れくさくなる。
しかし、もう言ってしまったんだし、中島さんとももっと仲良くなりたいしと思い、どこか一線を引いて接していた彼に少しお願いをしてみようと考えた。
『そ、その…名前で呼んでもいいですか?』
「!うん、全然いいよ!!ていうか蝶ちゃんの方が先輩なんだし、そんな許可なんてなくっていいのに」
心無しか嬉しそう。
『いや、ちょっと言うタイミング逃しちゃったっていうか…敦、さん』
「タイミングって…本当だ、太宰さんが言ってたみたいに、思ってた以上に可愛いところいっぱいあるね」
クスリと笑う敦さんに太宰さんにたいするように手が出そうになったのを必死に堪えた。
『か、可愛い禁止ですから!次言ったら敦さんに書類仕事全部押し付けますからね!!?』
なんて身勝手な押し付けだろうか。
ついつい口から出てしまっただけだったのだが、それを間に受けて素直に受け取るのが敦さん。
「え、蝶ちゃんの書類仕事を!!?僕学校の事なんて……い、言わない!!けど、思ったら言っちゃうかも…」
『!!き、禁止ですってば!』
「いや、だってもうその反応が既にかわ…な、何でもありません」
鳩尾めがけて腕を構えれば、青い顔をして誤魔化された。
『よろしいです』
「………これから気を付けます」