第5章 新しい仲間と新しい敵と...ⅲ
「あ、蝶ちゃん!今大丈夫かい?実はちょっとまた大きく事態が動いてね…」
電話の相手は太宰さん。
普段はおちゃらけている彼だが、私に連絡を寄越すだなんて本当に何か困っているのだろう。
『動いたって…一体何が?』
「結論を言えば、紅葉の姐さんを捕虜として探偵社に捕らえようと思う。つい先程、敦君と国木田君と賢治くんが姐さんと衝突して、そこに組合が現れて全員瀕死状態になっているそうなのだよ」
『!!…わ、私はどうすれば?』
嫌な想像が頭にちらつく。
私の様子と電話からの太宰さんの言葉で、先生方もこちらを心配して見ていた。
「私の元にとりあえず来てくれないかい。早く与謝野先生のところに連れて行った方がいい…とにかく早く運びたい、お願いしてもいいかい」
『はい、すぐに太宰さんのところに移動します!』
「ありがとう」
返事を聞いて電話をすぐに切り、太宰さんの元へと通じる扉を作る。
今回は一刻も早く太宰さんと合流しなければならないので、地面に移動するようにした。
『すみません先生方、本来ならここから本校舎に何かあった時動けるようにしたかったのですが…』
「そんな事気にするんじゃないわよ!今あいつらだってテストなんだから、とっとと自分の事に集中しなさい!」
『!はい…事が片付いたら戻ってきますから!』
三人に一礼して、すぐに扉の中に入って移動した。
『太宰さん!!』
「!…ありがとう、頼めるかい?」
『はい、中島さんのところでいいんですよね…っ』
中島さんへの扉を作って入り、その光景を目にした途端に、息が一瞬吸えなくなった。
皆が…紅葉さんまでもが血を流して倒れている。
敵や知らない人がこうなっていたってこんな風に思いなんてしない。
私の大切な人達が、死にかけている…生きてるよね……?
「…蝶ちゃん、与謝野先生にはもう連絡してあるから、今はそっちに運び込もう。大丈夫、皆ちゃんと息がある」
『あ……は、はい…』
太宰さんの言葉でなんとか正気を保って、探偵社の医務室への扉を大きく作る。
そこには与謝野先生がいて、寝台もちゃんと用意されている。
「蝶!?…ああ、太宰が呼んだんだね!ここに移してくれるかい!」
何も口に出さずに、その場で倒れていた全員を寝台にテレポートさせた。
私、本当にこれでいいのかな。
学校に行ってて、いいのかな…