第5章 新しい仲間と新しい敵と...ⅲ
椚ヶ丘では今日はテストだと知っていたため、中也さんを宥めてから直接教室への扉を作る。
そして職員室に行けば、烏間先生が慌てた様子で駆け寄ってきた。
「白石さん、さっき中原さんからも連絡が入ったんだが…来ても大丈夫だったのか?」
『え、なんでわざわざ!?いや、大丈夫だから来たんですけど…それに本校舎の方を狙われてもダメですし。なんなら、得点に反映されなくてもテストだけなら受けれるかなって』
言った瞬間に殺せんせーが、何枚もの紙を持って私の元に歩いてくる。
「はい、ちゃんと浅野理事長から問題を頂いてきましたよ!白石さんは十分に勉強は出来ていなかったでしょうけど、高校の範囲にも入っていてかなり…『いいです。今すぐ解きます』にゅや!?今すぐ!!?」
私が抜けていた時に教えていた内容もあるなどで慌てる先生だが、この人も大概甘い人だ。
『そんなの、休んでた私が悪いんです。それに私からしてみれば、それくらいないとハンデにもなりませんから』
言いのけてから、先生達の目の前で受けるために机と椅子を用意し、職員室の中で解き始める。
殺せんせーと烏間先生だけにとどまらず、イリーナ先生まで気になったのか、まじまじと私が解くのを見ていた。
「ハンデって蝶…あんたやけに解くの早くない?今回のやつ、かなり難しくなってるはずでしょ」
鉛筆の音が淡々と鳴り響く。
『難しくなってても今まで通りでも、解いたことあるんで問題ないです。一応、色々あって人よりは勉強して来てるつもりですから……はい、とりあえず英語と国語』
「え、もう終わったんですか!?」
『だから終わったんですって、私早くテスト以外の事に集中したいですし』
次に数学に手を付けて、それが終われば理科、社会、そして家庭科と、次々にテスト用紙を鉛筆で埋めていく。
『…つっかれたぁ…今で丁度お昼くらいです?』
「全教科合計三時間…!?こんな事がっ…」
私の解答用紙を確認する烏間先生。
そしてそれを一緒に見るイリーナ先生と、私をじっと見て汗をかく殺せんせー。
「白石さん、貴女いったい…」
『…まあ、色々あるんですよ…………っ、すみません電話なりました。ここで出てもいいですか?』
「あ、ああ構わない…全部埋まってるな」
解答用紙に目を通しながらも烏間先生から許可が降りたので、振動する携帯の通話を開始した。