第5章 新しい仲間と新しい敵と...ⅲ
ポートマフィアの拠点に移動して首領に中也さんがわけを説明すれば、丁度首領も医務室に用事があったらしく、一緒に移動することになった。
終始ケホケホと軽い咳が出ていて申し訳なかったのだけれど、首領も中也さんと似たように親バカのような反応を見せるため、申し訳なさも薄れる。
本当、親バカばっかりかここの組織は。
なんて思いつつも医務室につけば、そこには先日重症で医療機器に繋がれていた芥川さんがいた。
『!芥川さん、もう大丈夫なんですか!?』
「あ、おい蝶!?」
中也さんの元から駆け出して芥川さんの元へ寄れば向こうも気づいてくれたらしく、こちらを振り返る。
「白石か…色々な者から話は聞いている。無理をさせたらしいな……すまない」
『えっ、芥川さん頭上げてくださいよ!私、そんな大層なことしてませんし…』
私に傅くように頭を下げる彼は、私が血が足りなくなった事や彼をここに運んだ事、樋口さんや黒蜥蜴の皆と一緒に敵組織からの奪還に赴いた事を聞いたらしい。
「その上あのような土産まで…また今度、僕からも何か甘いものを贈ろう」
『……芥川さん、首領と中也さんの甘やかし移りました?』
私が甘やかしと言えば首領も中也さんも、聞こえていたのか図星のような反応を遠くから見せる。
「僕は甘やかしなどしておらぬ」
『でも接し方が二人と変わらないような…』
「…あの御二方や太宰さん程にとは言えぬかもしれんが、白石にはこうするべきであると思うからだ」
要するに自分がこうしたいからだと言う芥川さんなのだが、彼までそんな風に言うだなんて、いよいよこの組織が少し危ない気がしてきた。
医務室の奥の方までたどり着いてきた首領と中也さんに気がつけば芥川さんは一礼して、首領となにやら目で会話をしているように見える。
「では芥川君、病み上がりで悪いがよろしく頼むよ」
「承知しました」
私の頭をひと撫でしてから、芥川さんは任務に向かってしまった。
「あ、あいつあんな奴だったか…?」
私の元に来て私を何かから隠すように上から抱きしめ、何故か執拗に頭を撫で始める中也さん。
『ちょ、中也さん?何でいきなりっ…もう、なんでこの組織親バカばっかりなの』
「そりゃあお前の人徳だよ。お陰様で俺は冷や冷やさせられっぱなしだが…」
『……妬いた?』
「なっ…!?黙って診察受けてろ!!」